おさるのじょじへい

その手に触れるまでのおさるのじょじへいのレビュー・感想・評価

その手に触れるまで(2019年製作の映画)
4.0
ようやくダルデンヌ作品を
劇場で観ることができました。
ダルデンヌ兄弟が、
ハンディカメラでの撮影に拘ってきた理由を
やっと理解したような。
臨場感と緊迫感、そして主人公への一体感。
大きなスクリーンでなければ、気付けませんでした。

アメッドの感情は、決して特別なことではないはず。
尾崎豊の歌に感化された当時の若者も
香港のデモに参加している若者も
ほとばしった感情の方向が違うだけで、
みんな同じだと思うのです。
だからこそ、今作はフィクションで
済ませてはいけないのではないでしょうか。
過激な思想に駆られる人に対し
何かしらのヒントになればよいと
心から感じました。

ラストの解釈を矯正してしまうような
邦題は好きではありません。
原題は『若きアメッド』といった意。
直訳でよかったかな…と感じます。
思春期の心は揺らぎやすいのですから。

先生の家へ向かうためバスに乗るアメッド。
殺意に満ちたイディル・ベン・アディ君の目が
忘れられません。
ダルデンヌ兄弟は、またまた素晴らしい役者を
見出しちゃいましたね。