通りすがりのナポリタン

マイリトルゴートの通りすがりのナポリタンのレビュー・感想・評価

マイリトルゴート(2018年製作の映画)
5.0
PUIPUIモルカーとは全く違う衝撃的でグロテスクな世界観の見里朝希監督のショートフィルム

狼に食べられてしまった7匹の子ヤギ達、狼が寝ている間に母ヤギは胃の中から子ヤギ達を助けるが子ヤギ達は胃液で体中が爛れていた。そして1番最初に食べられてしまった兄、トルクは完全に消化されており死亡していた。そして母ヤギは、ヤギの被り物をした人間の少年を連れ去った。トルクの代わりとして・・・

ショートフィルムの中に虐待などの社会問題がぎゅっと詰まっておりとても色濃くトラウマになるほど印象的だった。狼と七匹の子山羊に当てはめて子供たちに襲いかかる大人の恐怖を表しているのはとても残酷だし、わかりやすかった。閉鎖的で暗い小屋とただれた皮膚の子ヤギ達、1人だけ人間の連れ去られた少年の父親など、何を表しているのかを見ている人達に訴えてきて考えてしまう。痛々しい描写や子ヤギ達の不安な表情などもパペットで生々しく表現されているのも良かった。10分という短い時間の中に散りばめられた作品の伝えたい事を見つけていくのも面白かった。

鑑賞後はこの作品が頭から離れないし、怖いのに何回も見てしまうショートフィルムでした。