7月の物語の作品情報・感想・評価 - 26ページ目

「7月の物語」に投稿された感想・評価

okawara

okawaraの感想・評価

4.6
軽妙なマウントの取り合いは、可笑しいですね。

良作だと思いました。
kokke

kokkeの感想・評価

4.0
@ユーロスペース

演劇学校のワークショップとして二部構成で描く群像劇。若者のひと夏の恋模様、友情の軋轢やその再生をユーモア交えて瑞々しく描く。第一部は仕事仲間のミレナとリュシーのレジャー施設でのヴァカンス、第二部は留学生ハンネの帰国前最後の国際寮でのひととき。
男女が相手を誘惑したり、労る際の自然な身体の触れ合いにエロスと温もりを感じる。第二部のラストシーンは残される孤独な男の切なさが「女っ気なし」から引き継がれていた。
かずき

かずきの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

プールの監視員のジャンがミレナの足を触る前「僕は運動療法士の勉強をしてるんだ」と言った瞬間、女性が数名吹き出して笑った。そうよね。よく聞くセリフだよね。「マッサージが得意なんだよ」「骨が折れてるかも。救命の知識あるから見せて」とか。
ところどころのセリフに妙なリアルさがあった。あーこういう感じ、ちょーわかるーといったような。どこかで言った覚えのある、聞いた覚えのあるセリフが出てくる出てくる。学生と実習の中で作った映画で、ほとんど即興だったらしいので、彼女/彼らの日常がいたるところに出ているのだろう。

若いときって(人生100年で考えたら今も若いときなんだけど)みんな傲慢で未熟で、自分が楽しい方向に傾いちゃうから、ナンパ男に気をよくしちゃうミレナや、ついついシパンと踊っちゃうハンネの気持ちはよくわかる。
でも、若いときって怒りのエネルギーもたくさん持てるから、友達がナンパされて、居心地悪くなって怒っちゃうリュシーの気持ちもすごくわかるし、自分が気になっている人に絡む女友達に、激怒するサロメの気持ちも痛いほどわかる。みんな私だし、あとのきのあの人だった。

懐かしいけどもう戻りたくないような、そんな青春時代。今の言葉で言えば、最高にエモい映画だった。
あ

あの感想・評価

-
海と緑と鳥や虫。
そのなかで繰り広げられる人間関係

満席の館内であちらこちらから笑い声
好きだな、この感じ。
一緒に笑おう。

女ともだち、本当いいよね。
ともだちに会いたくなっちゃった。
ユーモアのセンスが抜群に良い!劇場内何度も笑い有り。その笑いもほんわかした笑いというか、「男って本当しょーもねーな」というやさしい笑い。キスまで持ち込めば何とかなると思ってる男の浅ましさよ(そう思いたくなる気持ちも分かるけどさ)

第一部と第二部、若い男女が7月の青空の下で出会いを楽しむ。フランス人は本当ナンパが上手いな、と変なところに感心したり。会話が自然でめっちゃ好み。登場人物の心の些細な変化も丁寧に描かれている。

「バカンスは楽しいだけとは限らない」と『女っ気なし』のアフタートークで監督が語っていた通り、今作もバカンスに対する監督の強い思い入れを感じました。あー、バカンスに行きたい!
nagashing

nagashingの感想・評価

4.0
第1部 のちに「宝島」として再発見されるロケーションが、「騎士とフェンシング」「オレンジTシャツの女と柔道」という奇妙なできごとにあたえる説得力。仲たがいした女たちが、それぞれにフィクショナルな体験をすることでなんとなく和解するフィクション性がすばらしい。

第2部 全員キャラ立ちしまくっててクソ楽しい。いきなり碇シンジ的マスカキをかますイタリア人、ダンスの伴奏曲につける歌詞が香ばしすぎるのもヤバい。感情の自然な発露で踊りつづける女と、彼女に対する牽制で踊りはじめる女のすれちがいが、不可避的に決裂へといたるまでのスリルにもゾクゾク。

これが一番ロメールに近いような。本人たちには深刻なヒリヒリを滑稽に見せる距離感とか、男性陣の幼稚さやおサルさんっぷりとか。
国立演劇学校のワークショップとして、裏方は三人くらい撮影期間は五日という制限の中作り上げたため、内容や演技経験のない俳優たちに釣り合うよう、画面のサイズは小さめにしたらしい。

★第一部 日曜日の友だち★

『宝島』の舞台となるレジャー施設で、その一年前に撮影されたってだけでエモエモなんだが!どうしてくれる!ギョームも言ってたけど、全編ロメールっぽくて、特に発色が『クレールの膝』っぽいのが凄い好き。救命胴衣がとても邪魔なのはこの際置いとくにしても、ミレーナの色恋から離れてたどり着いた先がフェンシングで、そのまま傘がフルーレになるのは天才だと思った。実は『宝島』でも"営業時間外に客をボートに乗せてた従業員がいる"って所長が怒ってるエピソードがあって、絶対彼女たちのことではないんだけど、こうやって映画どうしをリンクさせるのって超素敵だなって思いながら、ちょっと『宝島』思い出して泣いた。

ちなみに、リュシーのライフジャケットが全部で三回くらい変わるんだけど、それは意図した訳ではなく、師匠ロメールも気にしてなかったしいいよね!って思ったって言われた。指摘されてちょっと凹んでたのが可愛らしかった。ごめん、ギョーム!そういうつもりで訊いたわけじゃないんだよ!


★第二部 ハンネと革命記念日★

理系の学生って物理現象に例えがち超分かるー!!うちの研究室同期も私が対応に困るくらい物理現象に例えてくる。サロメ、周りは若干引いてるんやで、気付いてくれ。何やってるの→量子物理学→なにそれ→どっから説明しようか…のくだりも死ぬほどやったことあるー!!めっちゃ噛み砕いて説明した後の"ふーん"みたいなのもやられたことあるー!!理系あるある映画なのか?

しっかり者っぽい見た目からは想像できないくらいフラフラしたハンネさんが"出会い"という奇跡を紡いで"別れ"に持ち込む"祭りの後"映画。登場する男が皆ちょうどいいアホなのがとてもちょうどいい、という不思議な心地に陥る。寝姿に発情してマスをかくアンドレア、パレードからハンネさんを付け回した挙げ句殴られたのをいいことに二の腕やらに触りまくって勘違いしまくるロマン、"君たちと友達になりたかったんだ"と言いつつサロメの目線を尽く無視してハンネさんを見つめるシパン。理系学生としてサロメを応援していたが、ありゃないよねって感じに"素朴"な雰囲気を振りまくハンネさんやら酔っ払ってニヤニヤしてるハンネさんやらは可愛かったとしか言えない。どんだけ誘惑すりゃ気がすむんだ!ってアンドレアに言われてて、気持ちは分からなくもなかった。

殴られたロマンを立ち上がらせたときに"地面の血にカメラが寄ったら天才なのに"って思った瞬間カメラが血に寄って、俺が悪かったってなった。最後は生き生きとした若者たちの惚れた腫れた話を一気に現実に引き戻す、リヨンでのテロ事件のニュース報道が後ろに流れる中、寮の人々に置いて行かれたハンネさんが印象的だ。事件自体は撮影中(2016年7月14日)に起こった事件であり、撮影中はいらないと思ったが、編集中に同時代の記録として必要だと思ったらしい。フィクションを現実に引き戻す作用があると言っていた。


トークショーはギョームは昨日より自信なさげだったけど、質問出来てよかった。サインもらったとき、"リュシーのとこ、私はとても好きだよ"って言ったら"ありがとう"って言ってた。サイン入りパンフレット、大切にするよ。
机に座る人々を個別に切り取るカメラがギターの音とそれに合わせた即興のダンスにより、各々が保っていたスタンダード比率のフレーム=パーソナルスペースに介入=感染が起こる。

第1幕『日曜日の友達』は『宝島』と同じロケーションによる物語。
『宝島』が障害を乗り越えるための運動だとするなら、『7月の物語』は落ちる運動といえる。
冒頭の列車で1つのフレームに収まりながらも、別々の電車窓に切り取られているフレーム内フレームの作り方。

第2幕『ハンネと革命記念日』は国際寮を舞台にした物語。
上映後のサイン会で質問したら、第1幕と第2幕で登場人物とロケ地を変えたのは依頼された企画がハナから、登場人物を変えた別の物語を作るという内容だったかららしい。

第1幕が休暇にヴァカンスを楽しむ少女たちの物語だとするならば、第2幕は休暇の終わりを告げるような政治的な物語と、政治を目の当たりにしながらも極めて個人的な色恋沙汰に巻き込まれる群像劇である。

第2幕の主人公であるハンネがまず可愛い。カメラは基本的に彼女を中心にフレームに収めることで、彼女が自由自在に部屋を室内外を行き来できる存在であったのに、ノルウェーに帰る当日の朝。寮を出た彼女の後をカメラは途中まで追うことしかできない。このことが前日の喧騒と対比され、とてつもなく悲劇的。
寮の廊下のロングショット。そのたった1つのショットの中にドア=それぞれのパーソナルスペースが幾つも並んでいることを見せる。


ギヨーム・ブラックと話せてよかった。
ギヨームから

「思い出しました。昨日『宝島』にいましたね」

と言われて嬉しかったのに、ユーロの帰り道。ガタイに比例して態度もデカイオヤジや、横並びで歩く群がる渋谷の人々に道を邪魔されてイライラした。

視覚的に他人のパーソナルスペースを確認できない人々はこの映画を観て、距離感というものの取り方と視野の広さを身につけて欲しい。
2019/06/08
・国や文化を超えて共感できる人間らしさが見える作品
→映画館で、あれほど多くの観客が笑っている姿に驚いた。
→日常の中で、似たようなを経験をしたことがある部分や、人間の裏側のような部分を押し付けることなく淡々と表現しながらも、例え国や文化は違っていても感情の部分には確かな共感を呼び、そこに笑いが生まれているようだった。
→これまでの映画にないような新しい内容が描かれていたり、経験したことのない話でありながら、一つ一つ共感できる。登場人物を違和感なく自分や知り合いと置き換えて内側から楽しんでいるような感覚になった。
→本当に面白いことは、声を出して笑うことに限らないとも何故か思った。
→陽気な部分が惹きつける魅力は、社会問題と言われるような暗い部分について、現実と映画を結びつけ、身近なこととして考えさせる役割を果たしているように思った。
→3:4の画角を採用していることについては、監督の映画愛を感じる。

・ギヨーム・ブラック監督の今後の活躍にさらなる期待が膨らむ作品
劇伴を限りなく排し、環境音を効果的に使用する演出や、フィクションとドキュメンタリーの中間にあるような作劇が、人物たちを瑞々しく捉える。さらに、第二部からはパリが抱える社会問題を表出させ単なるロメール・フォロワーには終わらない現代性をもたらしている。ほろ苦くも優しい後味を残す傑作。