スローモーション男

小さな兵隊のスローモーション男のレビュー・感想・評価

小さな兵隊(1960年製作の映画)
4.5
 『はなればなれに』でゴダール風が旋風しているので続けて作品を。
 ゴダールが後に妻となる女優アンナ・カリーナを初めて起用した作品

 アルジェリア紛争中、スイスを舞台にアルジェリア独立を阻止する秘密組織とアルジェリア民族解放戦線の対立を軸に、暗殺を依頼されたカメラマンのブリュノとデンマークの娘ヴェロニカの愛を描く。

 『勝手にしやがれ』の次の作品で比較的分かりやすいく、面白かった。アルジェリア戦線のことを知っていればなお分かります。
 製作当時はまだ戦争が続いていたのでアルジェリアに味方をするような描き方をされていて公開できませんでした。

 前半はヴェロニカばっかり映されていてゴダールがアンナ・カリーナ大好きだったのが理解できます♥️
 後半は裏切り者にされたブリュノが捕らえられ拷問されます。後の『気狂いピエロ』の拷問シーンにそっくりで水攻めが多くキツい…。

 最後、呆気なく終わってしまうのもゴダールらしい。

 この作品のラストでブリュノがヴェロニカに戦争や思想、種族、言語、孤独、愛などについて語る長セリフのシーンがとても良い。最後に「君は僕を愛する?」と聞く。
 まるでゴダールがアンナ・カリーナに「俺は色々ごちゃごちゃ偉そうに言うけどそれでも愛してくれる?」と聞いているようです。
 この作品の後、二人は結婚するのでその通りみたいですね!
 ただ、二人の関係が悪化していくのは後の映画を通して分かるのですが…。

ここまで自分の愛について語る映画監督も珍しいですね❗