優しいアロエ

スペシャルアクターズの優しいアロエのレビュー・感想・評価

スペシャルアクターズ(2019年製作の映画)
3.5
 日本を席巻し、現在ロッテントマトで72人の批評家から100%の推しをもらっている衝撃作『カメラを止めるな!』から1年。次への期待もガンガンに上がり、『シックスセンス』後のシャマラン状態にある上田監督、待望の新作。
——————

 それなりに笑わせてもらった。ダサメンとチンピラの役者兄弟は、今年のインディペンデント映画の注目株『メランコリック』を彷彿とさせるが、奇抜な設定からしっとりとしたドラマに落とし込んだ『メランコリック』に対し、本作はひたすらにコメディに振り切った。笑わせてなんぼ、驚かせてなんぼの脚本勝負である。

 カルト教団の毒っ気混じりな描き方もgoodだし、ミスリードの敷き方も巧みだ。どんでん返しを幾重にも用意し、とにかく『カメ止め』で掴んだファンの心を離すまいという姿勢が窺える。手数に重きを置いたぶんスベっているところもあったが、全体としては十分すぎるエンタメ・パフォーマンスを見せてくれた。
——————

 ただ、秀逸な脚本のみに収まらず「製作者賛歌」な熱いメッセージが伝わってきた『カメラを止めるな!』に比べると、どうしてもドラマとしての強度には欠けた。

 本作も『カメ止め』同様、売れない役者にスポットを当てる。さらに、主人公のダメダメな部分を徹底的に見せ、彼の成長譚に期待がかかる。しかし、最終的な成長が見えてこない。気絶体質を持っていたり、おっぱいボールにすがったりといった主人公の弱みが、ほぼコメディとしてしか作用していないのだ。

 ラストの大どんでん返しも正直微妙で、匂わせる程度に留めておくべきだった。結局、ラストにどんでん返しがあると、それまでの内容が軽いものに感じられてしまうので、後から思い返したり、繰り返し観たりする気が削がれてしまう。

 良くも悪くもエンタメ一本勝負。2時間ドラマくらいが丁度よい作品ではあったが、前作の成功から背伸びをせず、B級なストーリーで次の発火を狙う上田監督の心意気は気に入った。頑張れ!