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チア・アップ!のsomaddesignのレビュー・感想・評価

チア・アップ!(2019年製作の映画)
3.5
2020年代の70代って超元気!

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平均年齢72歳。余生を過ごすためにシニアタウンに越してきたマーサ。お節介焼きの隣人シェリルに「昔、チアリーダーになりたかったの」と口にしたことから、チアリーディングクラブを結成することに。早速メンバーを募集するも、集まったのは未経験者……
どころか腕が上がらない、膝が痛い、坐骨神経痛持ちの老人8人。周囲からは絶対に無理とバカにされ、笑われながらも、互いに励ましあいながら練習に打ち込んでいった。

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「ジーサンズ」「アンクル・ドリュー」etc 年に何本か作られる、邪魔者扱い・お荷物扱いのお年寄りが若者に目に物見せる系。正式なジャンル分けがあるのか知らないので「シルバーアベンジャーズ系」としてみる。

予告編・ポスターで想像した通りの物語。
特別驚きのある展開もないし、世界のピンチを救わない。社会問題に切り込むような問題意識も希薄だし、精神的に新しい発見もない。
なんかこう全てが予定調和でソコソコ面白くて、安心して見てられる。映画自体も年寄り向けな印象。
原題「POMS」はどういう意味か調べたけど、ハッキリしたことが分からず。ググっても心の健康状態を測るテストが出てくるばかり。


悔いなく生きるってどういうことか模索する物語で、人生の終盤でなお男性社会の軛から逃れられない女性の復讐劇でもある。
若い子たちがシルバーチームを厄介扱いするたびに、逃げ恥の百合(石田ゆり子)の名言を思い出す。
『今あなたが価値がないと切り捨てたものは、この先あなたが向かっていく未来でもあるのよ』『自分がばかにしてたものに、自分がなる』『それって辛いんじゃないかな?』『自分に呪いをかけないで』

ダイアン・キートンが70代とは思えぬ快活さ、格好良さで見惚れる。セレブな高級品を身につけてるわけじゃないけど、どこか品があって知性もにじみ出るスタイリングが素敵。突飛なファッションじゃなくて、すごいシンプルな組み合わせだけど快適な普段着の格好良さ。VOGUEで「歳をごまかす努力ほど疲れることはない。そんなことをしても幸福はやってこない」「歳を重ねると熟していくという考えは一生理解できない。私はスローダウンなんてしていないし、 ゴールを達成することはいつまでも続いていく」て彼女の数ある名言をまとめた記事がWebで読めるのでオススメ。

シルバーチアチームの巨乳自慢のオリーヴ。パム・グリアってエンドロールで知ってビックリ!( ゚д゚) パム・グリアもover70かー。「ジャッキー・ブラウン」が97年だから、思えば遠くへ来たもんだ。すっかり大きくなられて「残虐全裸女収容所」「コフィ」の人とは思えないけど、同世代の人達の中ではダントツお元気そうで良かった☺️

ベン役のチャーリー・ターハンは「アイ・アム・レジェンド」のあの子か!大っきくなって!黒目がちで小動物みたいな可愛さはそのまま。ボケッとした朴訥顔へと成長してる!


ストーリー展開・世代間ギャップギャグ他、いちいち使い古されたネタばかりで新しい切り口があるわけでもない。だからこそ安心して見てられるわけだけど、なんなら全編見なくても大丈夫って気もしてくる。
あとこれはもう完全に自分の貧乏根性による妬みなんだけど、なんかこう金のある人達の贅沢な悩みを聞いてる気分。シニアタウンで悠々自適な暮らしをしといて、老いや死の不安を吐露されましても💧「こちとら余生どころか明日の心配で一杯一杯なんですけど……」


33本目
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