生物多様性という言葉はなんとなく知っていて、頭では理解していたつもりでもいた。だけど、その程度の理解じゃなんにも意味が無いこと、中途半端な理解があった自分は全く知らない人間よりもタチの悪いヤツだったってことを痛感する。
人間の頭の中に存在する｢楽園｣には、少なくとも、仲間に無惨に殺された動物の姿はないだろう。ジョンたちは自分たちの農園に自然を、生命の循環を再現しようとしていた。｢環境を調節する｣ことだけに注力して農園を経営する彼等が見てきた暗い影の部分。人間が徹底してコントロールすれば防げる事故だって沢山あったはずだ。だけど彼らは耐えた。自然で起こりうる全ての出来事に、できる限り不干渉でいる為。｢見守るだけ｣ということの辛さがしみじみと伝わる。
農園を作り始めてから8年後、そこにはただ自然があった。美しさも残酷さも、全部引っ括めて｢楽園｣だと呼べる農園が。
