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エターナルズのおはうちのレビュー・感想・評価

エターナルズ(2021年製作の映画)
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冒頭、メソポタミアで披露される個々人のアクションの整理整頓や、役割分担の明確さが気持ちが良い。見通しの良いカメラアングルを保ったままガチャガチャとカットを割らないでいれば敵と味方の距離感が把握できる。近作のMCU中でも一番アクションの出来が良いかと。

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六つ目の赤色巨人が出てるシークエンスでは画面がフルに広がってきて存在のスケールを本気で表現するとこうなるってのを画面で殴ってくる。進捗報告するシーンの顔面だけというか赤い壁と会話する場面とかがシュールだし、何回か繰り返すから笑っていいんだな。

監督のクロエ・ジャオが幽遊白書好きと公言してるおかげもあって超人達のアクションシーンは目に見えて浪漫や見得を切ったり分かりやすい格好の良さを見せているだけじゃなくて、幽遊白書そのまんまの必殺技を使ってる奴いて笑った、好きってそのまんまの意味だった。

動線が考えられていて、ロンドンで川沿いの歩道を歩いて行くと化け物が待ち構えていて、化け物を釘付けにしたあとUターンして戻ると後ろからを追ってくるから振り切るため歩道の上にある橋へ登って行くよう仕向ける。ロケーションで生じるサスペンスが用意されている。

メソポタミアとかバビロンとか世界史の教科書で出てくる有名所の同列上に日本も登場してくる。数ある人類史の中で、7000年生きている不死身のマクロ視点で取り上げられる超重要な出来事である共通認識そのものと、最たる悲劇性には泣かされた。

頭脳労働担当のファストスの造形が光っていた。人類に叡智を授けるのに好意的であるから、人類の進化の果てが暴力に満ちている事に最もダメージを受けてしまう立場になってしまう。地球存亡の危機に向かっていく際、パートナーとの別れのキスで泣く。

人類の進化が兵器の発展であるならば、アイアンマンの誕生からエンドゲームに至った勝利を7000年生きている不老不死の視点ではどう見えていたのかは見たかったよね。アベンジャーズの人口半分になったのを戻した功績とか考えてねーのかな赤色六ツ目巨人さん。

意見が合わないから最終決戦には参加しないで離脱したキャラが本当に最終決戦に援軍にも来ないで何もしないって逆に斬新だったよね、後日談でちゃっかり登場してきて、やっと存在を思い出したレベルだ。何か遠距離で協力とかもしないんだ。あと、カメラを止めるな!よ!!!

スーパーマンみたいと称されるイカリスなんだが、スーパーマンのパロディと言えば『ザ・ボーイズ』のホームランダーなんてキャラが最近あったから、どれくら意識していたんだろうか。無機質に目から光線を出す異形さ加減が似通ってる。

MCU特有の俳優がおどけるギャグはエンドクレジット後のオマケシーンとかだけで安心、あの小人のおどけた感じがいつものMCUで超つまんないんだよね。ギャグはマ・ドンソクに回され気味なんだけど、フライパンから落ちる食い物とのギャップとか、変身魔法とかの受け身が中心で悪くない。

キンゴのボリウッド風のミュージカルシーンはイマイチ。金は沢山あるんだからもっとド派手に出来るでしょうにね。しかし、映画の撮影現場で続編を作るスタッフ達と、助けを求めている旧友との狭間で迷っている構図の作り方や、付き人の冴えた一言で決断する流れは大変良かった。
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