2049

エターナルズの2049のレビュー・感想・評価

エターナルズ(2021年製作の映画)
3.5
 アカデミー賞では作品賞と非白人で初めて監督賞を受賞した『ノマドランド』のクロエ・ジャオ監督によるMCU作品。

 『ノマドランド』は未鑑賞。『ザ・ライダー』はドキュメンタリーのようなリアルに徹した静かなドラマで、主人公の心理を見事にとらえるカメラと美しく壮大な自然が印象的な傑作だった。MCU作品とは似ても似つかない作品で、正直あまり相性は良くなさそうな気もする。

 7000年間人知れず人類を守ってきた『エターナルズ』。人類滅亡の危機が迫っていることを知った彼らの戦いを描く。

 正直かなり微妙な出来で、やはりクロエ・ジャオ監督とスーパーヒーロー映画は相性が悪いと思う。
 まず敵に魅力がない。ディヴィアンツはほぼ獣でそこに心や葛藤はあまり見出せない。終盤その設定は変わっていくが捨て駒のような扱いで驚く。
 人類に迫る脅威の方も具体性が無く、『あと少しで地球が崩壊します』くらいのイメージしか持てない。
 つまり敵や脅威がぼんやりしているのだ。

 更に超人集団エターナルズは仲間割れや恋煩い、それぞれの抱える怒りや混乱でガタガタ状態で最後までどうにもはっきりしない。エターナルズに指示を出す天界人アリシェムについてはほぼ神のような存在で、【こんなもんどうしようもないじゃない】という諦観を観客に与え、より物語がどうでもよいもののように思えてくる。
 敵も味方もどうしたいのかはっきりしないという状態が続き、様々な時代とそれぞれの葛藤や心情を次々と描くため全体的にゴチャゴチャした印象が非常に強くとっ散らかっていて展開がとにかく鈍重。
 
 アクションシーンはどれも楽しいのだが、どこかで観た映像の連続のような気もする。フレッシュさが足りない感じ。イカリスは完全にスーパーマンやホームランダーと丸被りだし、マッカリはフラッシュだ。

 クロエ・ジャオ監督らしいのは美しい風景描写くらいで作家性を潰されているような印象さえ受ける。素晴らしい才能を持つ監督であることは間違いないので次作で作家性を存分に発揮した作品を作ってもらいたい。