リコリス

エターナルズのリコリスのレビュー・感想・評価

エターナルズ(2021年製作の映画)
4.5
マーベルの中で一番好きかも…ていうか、最もSF的でワクワクする壮大さがある。(DUNE第一作より好み)

エターナルズの誰押しか(マッカリの引き籠もり生活を番外編でドルイグとの進展含め、やって欲しいけど)、というより緻密で壮大世界観と、実写とVFXが入り混じった映像美が素晴らしい(映画版『三体』やバラード終末モノが観たい…)(忘れら去られているが創元推理文庫の絶版傑作『黙示録3174年』なんか、映画向きなのでは?)。自分たちが見守り助けてきた人間は愚かで諍いと虐殺を繰り返す…ここで象徴的にヒロシマが出てきただけでも、ジャオ監督に感謝…でも、人間は愛し、夢を見、創りだす…エターナルズと同じように。その存在価値を理解した者が人間の味方に立つ、という胸熱展開(何せ、人間は馬鹿ですから)

羊たちの番犬が実は自分たちも家畜で、牧場を襲う狼と同類で、主人の意志一つでいつでも羊と同じ運命であることを知る。番犬はいくらでも血統(記憶)残して補充出来るし…(ということはギル様も復活可能?)理性を失うセナ様の原因が記憶残存という設定も巧み。

人類史をメソポタミア、バビロン…と雄大な景色とともに辿るのも嬉しいし、ロンドン、アマゾン、アリゾナ、アラスカ…ジャオ監督的なロードムービーのような手触り感ある自然美も良い。

マブリーの使い方もエプロン料理姿、怪力ファイト、女性に優しい紳士、と心憎い限り。

手話者やLGBTの存在も自然。例えば成長を知りたいマージナルな年齢者には『ポーの一族』的苦しみや語った神話通りになってしまう愛の悲しみがあるなど、性格設定に深みがあった。一人ひとりに掘り下げがしっかりあるから、荒唐無稽なスケールにリアル感があるのだろう。

ただ、ボリウッドの踊りシーン、少ししょぼいのが残念(インド映画はもっと豪華でド派手で一糸乱れずですよ)。俳優が世襲制みたいに一族俳優なのは、らしくて微笑ましいけど。

ともあれ次回作がとっても愉しみだし、もっとSF設定に寄せて欲しい。エンドロールの世界の文物、しみじみ美しかった 。We love, dream, create.
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