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エターナルズの教授のレビュー・感想・評価

エターナルズ(2021年製作の映画)
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地味だと聞いていたが、僕にはとてもド派手な映画でとっても退屈しなかった。
「エターナルズとは何か?」についてほぼほぼ説明しているだけ、ストーリーがあってないようなものなのに、クロエ・ジャオの人物への描き方、という演出術と、マーベルスタジオのアクションとVFXを見事に混在させたダイナミックな画面づくりで、とにかく没入できた、というのが大部分を占めていて、結論としては大好きな作品。

何より、主役級のアンジェリーナ・ジョリーが見事過ぎるほど潔く脇役に徹していて素晴らしい。
またアジアでは知名度抜群のマ・ドンソクはとにかくマ・ドンソクとして「地」のままで妙な説得力と相変わらずの愛嬌で幸福感も高い。

何より、ジェンマ・チャン、クメイル・ナンジアニ、リア・マクヒュー、ブライアン・タイリー・ヘンリー、ローレン・リドルフ、バリー・コーガンなど、非白人アメリカ人キャスト意外のいわゆる「多様性」に富んだキャスティングがとにかく作品としてあざとさがなく適役に配置されている。

メッセージは明解ながらも、その提示のバランスの良さがマーベルの強み。
キャラクターへの感情移入を徹底して描くことで物語上の煩わしさを軽減させるテクニックが毎回秀逸なのだが、本作は特にそれが際立っている。
何よりさまざまなこの人種構成や身体的なハンディキャップとされるものもカッコ良さに変えてしまう見事さが、ここまで心を自由にしてくれるものかと驚かされる。

個人的には、前半にあるエターナルズが人類に知恵を授け、文明の手助けをするという「デニケン」的な考えを、映像化されると非常に感じ悪い、ということと、イカリスは最後になんであんな風になっちゃったんだろうとか?よくわからないところもあったりもしたが、躊躇なく巨大な物語を語る意志に僕は充分に満足できた。
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