Ricola

ラ・マルセイエーズのRicolaのレビュー・感想・評価

ラ・マルセイエーズ(1938年製作の映画)
3.4
戦いの派手なシーンというよりも、多くの人間の集まったシーンが印象的な作品だった。


カメラがパンして周囲の様子を映し、その空間の中心にフォーカスしていく演出が多い。
たくさんの人々を扇動し、まとめていく中心人物をワンシーンで映すことで、集団性を強調するだけでなく、集団の熱気や思いを伝えるよう。

人々が集まり、彼らの思いが一体となっていることを、ぶつ切りで映すのではなく、一つの流麗なカメラワークによって収められる。
演説会のシーンが何度かあるが、その一体感や熱い思いを訴えかけるのに、この演出は効いていたと思う。

秩序の象徴である鳩を殺した市民。
この行為は、国への宣告を示していることは明らかだろう。

貴族は仲間内でも意見が分かれる。
迫りくる現実から逃れようと、彼らは踊りやら娯楽に興じるのだ。
市民間でも意見の対立は起こっている。
ロベスピエール派か否かということで彼らは話していく。
ただ、革命という同じ目的を見据えているため、彼らのそんな衝突は大したものではないようだった。

会話シーンのひとつひとつが長く、その上多いために、少々冗長に感じてしまった。とはいえ、蛇足だとみなされそうな「世間話」なども交えることで、そこからも人々の熱意や希望を感じられるように仕向けているのかもしれない。
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