NAO141

プライベート・ライアンのNAO141のレビュー・感想・評価

プライベート・ライアン(1998年製作の映画)
4.5
『命を無駄にするな、しっかり生きろ』

舞台は第二次世界大戦時のフランス。
戦禍の激しいフランスで、ある一人のアメリカ人兵士を帰還させるために奮闘する兵士たちの物語。
1998年のアカデミー賞に11部門でノミネートしており、そのうち〈監督賞〉を始めとした5部門を受賞している。
まさに歴史的な大作である。

冒頭の戦闘シーン。
これは数ある戦争映画の中でもNo.1といっても過言ではない程にリアルで、敵の砲火に晒され、傷ついていく兵士たちの描写は凄まじいものがある。
初めて観る方は少し覚悟が必要。
それ程に戦地の描写はリアルである。
本作を鑑賞した退役軍人の方に「足りないのは臭いだけだ」と言わしめたほどにリアリティーを追求した作品である。

本作、戦時下の兵士をヒーローのように美化した映画なのか、反戦映画なのか、そのどちらでもなく、ただ『戦争の現実、生々しい戦場』というものをリアルに伝えようとした作品のように思う。
また、〈ミラーの立場・捜索隊の立場・ライアンの立場〉で様々な見方・考え方が出来る作品であるようにも感じた。

物語の冒頭とラスト、墓参りをする老いた退役軍人の姿がある。これが救出されたライアンである。そして、ライアンはたくさんの家族に囲まれている。これは第二次世界大戦を戦ったミラーや捜索隊、そしてその大戦を生き抜いたライアン、その彼らが〈繋いだ命の象徴〉として描かれている。
この場面を観て、昔、私自身が祖父から聞かされた戦争時の話を思い出した。
「私を庇って仲間が戦争時に犠牲になった。いま私が生きていること、私が孫と暮らせているのはその仲間のおかげである。」、祖父はそう言っていた。
祖父のその言葉と物語ラストのミラーの言葉「命を無駄にするな、しっかり生きろ」が胸に刺さる。

多くの人に観てほしい作品である。
私自身、繋いでいただいた命に感謝したいと改めて思う作品だった。
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