シミステツ

プライベート・ライアンのシミステツのネタバレレビュー・内容・結末

プライベート・ライアン(1998年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

1944年6月6日ノルマンディ上陸作戦の後、マット・デイモン演じるライアン二等兵の救出を命じられたトム・ハンクス演じるミラー大尉以下8人。

オマハビーチのシーン。
作戦当日だけで15万人、オーヴァーロード作戦全体では連合国軍200万人におよぶ歴史上最大規模の上陸作戦。息を呑む大迫力の映像、音声。地雷に巻き込まれて腕が引きちぎれ、ちぎれた腕を拾い上げる者、炎に包まれる者、風の音以外聞こえない無音、スロー映像、その中でヘルメットを被るミラー大尉のシーン。
ママ!と叫ぶ者、爆撃で下半身がもげた者、呼吸の音、悲痛なうめき声、飛び出る内臓、神に祈りを捧げる者。大量の遺体、血に染まった海、打ち寄せる波。S.ライアン。冒頭約28分は壮絶だった。後の戦争映画に十分すぎるほど影響を与えたであろう。

「戦車未着、D地区の上陸ルート開けず」
「上陸第一波失敗。ビーチの確保ならず」

「本部へ連絡」

ノルマンディ上陸作戦での死者2名。
1人はオマハビーチ、ショーン・ライアン。
ユタ・ビーチ、ピーター・ライアン。
先週にニューギニアではダニエル・ライアン。
いずれも兄弟。
4人目の末の息子は消息不明。

「Captain」が部下7人を率い、1人の「Private」を救出する任務に。

実際に「ソウル・サバイバー・ポリシー」というアメリカ合衆国陸軍省に導入された制度があったそう。
(実際は時系列は後の1948年に制定)
戦闘任務に参加している家族が戦死した場合に、生存する最後の息子を保護するという制度。働き手や家系の断絶という事態に対する世論の反発を防ぐため、救出を命じたというもの。

1人の救出のために大切な隊員の命を懸けるということが意思にそぐわないミラー大尉。その価値がある奴なのか。

「ライアンを救ったことがこのクソ戦争で唯一誇れることだと」

「無駄にするな、しっかり生きろ」

「私はいい人生を?」
「私はいい人間かな?」
「もちろんよ」

ライアンには妻や子ども、孫たちの姿が。残された命を無駄にせず、繋がれた命がある。