ぴよさん

プライベート・ライアンのぴよさんのレビュー・感想・評価

プライベート・ライアン(1998年製作の映画)
3.6
ようやく観た、またまたスピルバーグとジョン・ウィリアムズのタッグ

といってもドラマチックな仕上がりではなく、ただひたすらに血なまぐさいシーンが続く 没入感と臨場感と緊張感が途切れることなく鑑賞者を取り囲む Munichのときもそうだったけれど映画的な演出というよりはいつどこで何が起こるか分からない怖さみたいな表現がずっと続いていて観終わったあとの疲れがものすごい ずっと目を開けて観ているような感覚

冒頭の上陸のシーンはこんなの勝機あるのか、と思ったけれど斜面から徐々に自陣を広げていくさまに圧倒された ライアン役がマット・デイモンなのも良い グッドウィルハンティングでもそうだけれど、この頃のマット・デイモンの持っている少年と大人の狭間みたいな風貌がより一層本作に深みを増した要因になっている
銃はナイフより殺した感覚が残らないから良いと聞くけれど、終盤鐘楼を攻めてきた敵兵がくんずほぐれつの後ナイフをゆっくりと刺したシーンでその意味が分かった

ジャクソンは処刑人を彷彿とさせるキャラクターでした あんな状況でも手がブレないの凄すぎる 最期の瞬間でも他人を気遣える心の持ち主だった

ミラーの右手の震えが止まる瞬間が彼の最期だなんて思いもよらず、あっけなく無惨に人が殺されていくのをみて、慣れというものはどこまで残酷なのだろうと思い知った

ここは危険だと察知したのだろうか、フランスの親子連れが子を一旦預け、危険が去ったあとにまた返すシーンだったり、アパムが銃弾を首に巻きながら奔走するシーンだったり、敵陣の近くに偶然居合わせたにも関わらず人の命を無下に扱わないところだったり、話のプロットが一本線じゃないところが好き 人間だからその行動に一貫性があったりなかったりするところが戦争に赴く人達の心の様相を表しているのだと感じる

1人の兵のために自分の命を天秤に掛けなければいけない辛さもあるし、上長としての務めもあるし、'ここまでで2人死んだ'と言われた時に、ライアンが謝るのではなく'名前を教えてくれ'と言ったところで彼の人間性が垣間見えた
ぴよさん

ぴよさん