◆あらすじ◆
第二次世界大戦中の1944年、ノルマンディー上陸作戦が成功し、アメリカ軍のミラー大尉率いる中隊に軍上層部から特別の任務が下される。それは3人の兄が死亡したジェームズ・ライアンを見つけ出して無事本国へ帰還させるというものだった。たった一人の兵士を救うために部隊全員を危険にさらすその任務に隊員たちは疑問を持ちながらもミラー大尉の部隊は任務を遂行しようとする。
◆感想◆
再鑑賞です。
第二次世界大戦中のアメリカ軍の奮闘を巨大なスケールとディティールにこだわった迫力のある映像で描くとともに、生死の境から生き延びた中隊がたった一人の兵士を救うという理不尽な任務を飲み込んで危険な戦場を渡りゆく姿がリアルに描かれており、最後まで圧巻のクオリティで私は作品にのめりこんでしまいました。
ストーリーの最初、アメリカ軍が揚陸艇で上陸するところをドイツ軍の銃弾で狙い撃ちされる映像が凄まじい迫力で描かれており、そこですぐに作品の虜になりました。上陸作戦を生き延びたミラー大尉(トム・ハンクス)率いる中隊の姿が描かれる一方、本国アメリカでは犠牲となった兵士の死を伝える文書を作成する女性たちの姿が描かれ、そこで3人のライアンが亡くなったことで軍上層部は残る末っ子のライアンを救い出すべく任務を命令します。軍上層部の気持ちは分からないではなかったけれども、3人の息子を失った母親の気持ちを汲むという感傷的な命令は戦場の血生臭さとずれていて少し滑稽に思いました。
ミラー中隊はジェームズ・ライアンを救出するために戦場を進んでいきます。そこで仲間な亡くなっていくことで中隊の中でもその任務の理不尽さに怒りを覚える者も出てきますが、ミラーが偽らざる気持ちを吐露することで隊員たちを納得させていく姿はミラーへの信頼が現れていて、感情を揺さぶられました。
その後、ジェームズ・ライアンを発見、ドイツ軍との戦いへとストーリーは進んでいきます。激しい戦火の中で、翻訳能力から中隊に加わった兵士のアパム(ジェレミー・デイビス)が恐怖に晒され、必死に生き延びようとする姿が非常に印象的で、戦場経験に乏しいアパムが逃げ隠れする姿は決してカッコいいものではなかったが、彼の必死さが伝わってきて良かったと思います。
多くの犠牲の上で生き延びた命の重みを伝える作品としてとても面白かった。映像の有無を言わせぬリアリティがストーリーや登場人物たちの重みを支えていて、とてつもない説得力を持った作品になっていました。
鑑賞日:2025年4月30日
鑑賞方法:Amazon Prime Video