世界中の「ゲイ映画」のなかの一つとして見ても、邦画のなかの一つとして見ても、「傑作だ!」とは思えなかった。
今ハヤリの「性別を超えた恋愛」を匂わせている点や、ランブルフィッシュやスイミーのモチーフなど、「新しいな」と思う部分はちらほらあったのだが、説明過多なセリフ回しや中途半端な性描写によって台無しになっている印象。「ゲイ映画」だから激しい濡れ場を入れればいいというわけではないと思う。
だからと言って濡れ場が「イイ!」とも感じなかった。ストーリー展開は二の次でわざと濡れ場をプッシュした「萌え」要素増し増しのボーイズラブにもなりきれていないのでは……。
笑うシーンなどは見るに堪えられなかった。
もっと、随所で「説得力」を伴っていてほしかった。
今さら思うことでもないのだが、やはり「邦画は弱いなー」と感じた。「もっとやりようがあるだろうに……」と気の毒になりながら観ていた。
だが、日本でも素晴らしい「ゲイ映画」はたくさんある。
副題の「~俺が彼に溺れた日々~」って……とても溺れてもがき苦しんでいるようには見えなかったけど!
残念ながら本作は、就活生に向けた「企業PR映像」の域。
2019.7.15(月)
レインボー・リール東京@青山スパイラルホール