しゅん

営倉のしゅんのレビュー・感想・評価

営倉(1964年製作の映画)
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アメリカの代表的な前衛演劇集団リヴィングシアターの63年の公演をジョナス・メカスが撮った上演映像。
リヴィングシアターはアントナン・アルトー『演劇とその分身』の「残酷」概念から影響を受けた集団で、「戯曲の再現」を否定する意識はこの映像からも十二分に伝わる。
米海軍刑務所の日々の様子(日本の富士基地キャンプがモデルとなっている)を描いているというが、ひたすらに痛そうな暴力の連続。腹パンを食らわせ、水をかけ、ウジ虫呼ばわりし、規則以外の何も与えない。誰がが殴り蹴るされてる時に、カメラは移動して微動だにせずに直立する受刑者たちを映す。演劇を映像にするという二重の虚構性に遮られているのにも関わらず、リアリティとして感知されるものがあることの驚き。やはりメカスが直立不動の無表情を捉えていることが大きいと思うな。
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