サトモリサトル

黒い画集 ある遭難のサトモリサトルのレビュー・感想・評価

黒い画集 ある遭難(1961年製作の映画)
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児玉清さんが自著の中で、この作品の壮絶な撮影エピソードを語っておりこれは観なければ!と思い観賞。
3作公開された「黒い画集」シリーズの第2弾。
「寒流」「あるサラリーマンの証言」と観て、これで完走。

最近また清張作品の映像化が多いけれど、やっぱり作品発表時期とそれほど変わらない時代に製作されたものはその味わいが一味も二味も違う。

物語が始まっていきなり死体となって登場する児玉さん。
同行者3人のうち、1人は初心者だったのになぜ登山経験者であった弟が死ななければならなかったのか。
事故なのか、それとも?
香川京子さん演じる姉の心に生じた小さな疑問によって、その後思いもよらぬ結末を迎える…。

とにかく、実際に登山しながらの撮影であるため映し出される映像の本物の迫力が凄い。
児玉さんも、苦しい演技をしているのか本当に苦しいのか区別がつかないほどの状態だったと語る過酷さが画面からも伝わってくる。
疲労と恐怖がピークに達して狂死するシーンはトラウマになりそうなレベルで怖い。

ブツっと切れるようにあっさりと終わるラストの空虚な感じ。
どうやら結末が原作とは微妙に違っているみたいだから読まなきゃ。

2016.4.11 DVD