清張の黒い画集シリーズの1編。今作は遭難事故に見せかけた殺人という物語だ。
ただ、映画としては盛り上がりに欠ける作品だったとは思う。今作も浅草東方のオールナイトで何回か見たが、やっぱり退屈だったという記憶しか無いもんな。
槍ヶ岳での登山で死亡事故。
メンバーはベテラン登山家(伊藤久哉)と、経験者と完全初心者の3人。
前半40分は事故が起きた登山の一部始終が語られる。
中堅の登山家が、寝台列車で来たのに最初から体調不良で、途中何度も休憩を入れる。山頂近くまで行くも悪天候のために引き下がり、更に帰路を間違える。
遭難した3人だが、最初から体調不良だった中堅が極限状態で発狂し滑落死。
事故として疑いようも無い無いようだったが、被害者の妹(香川京子)の疑問により、従兄弟(土田嘉男)とベテランが再度登山し真相を突き詰めるという内容だ。
トリックを仕掛けるのでは無く偶然性に頼る、いわゆる“プロバビリティー型犯罪”だ。
事故になるように誘導するという殺人方法で、直接手を下す訳では無いので不確実だがアリバイが残らないというタイプ。
だがやはり中盤まで、ただただ登山が続くという展開は盛り上がりに欠ける。事件性の見えない事件を描いているので、どうしてもこうなるのは仕方ないが…