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朝が来るのpandaのレビュー・感想・評価

朝が来る(2020年製作の映画)
4.3
「なかったことにしないで」
一旦書いては消した文字。
劇的な体と心の変化をもって為したこと、
人間を産んだということ。
なかったことになどなるはずもない。

なかったことにしたいと願う親。
それもわかる。
まだ年若い我が子の行く末を案じる気持ち。

女が孕んで子供を産む。
医学がいくら進歩したところで変わらない。
子を産む女と産まない男。
この違いはどうしようもない。
最大の思いやりは、相手のことを理解することかと。

ベビーバトンの原則。
例外を認めなかったことに、運営者の子育てへの思いを感じた。
子育ては片手間にはできないから。
大概妻が子育てに専念するのが日本の現状。
夫婦2人が協力して子育てするという構図が日本ではまだ望めないから、ここは仕方ないことか。
真実告知に関する考え方なども確立されており、あくまでも行き場のない子供の幸せを願うベビーバトンの役割は大きい。
結婚するしない、子供を産む産まないに加えて、子供を持つ持たないの選択肢も持てる。

「私だけがなんで」 
人が荒むのに時間は短くて済む。
負のスパイラルとでもいうか。

永作博美が演じる佐都子は温かい。
浅田美代子演じる浅見も新聞配達店の店長も。
今後はひかりの中で朝斗の存在が大きくなっていくような。

場面をつなぐ海の映像が美しかった。
ラストの子供の声は可愛らしく、ちょっとあざとさも感じたが。笑

ひかりがまた、誰か「好き」と思える時が来たらいいなと思う。
そういう感覚を持てるようになったらいいなと。
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