たいてぃー

朝が来るのたいてぃーのレビュー・感想・評価

朝が来る(2020年製作の映画)
4.0
河瀨監督作で、原作は辻村深月。特別養子縁組に関わるヒューマンストーリー。ミステリーとのふれ込みだったが、それらしいところはなくて。息子が幼稚園で他の子に危害を加えた、って件があって、ここからミステリーが始まるかと思いきや、そうでもなく。これはつかみってことかな。
「子供を返して、駄目なら金を払え」の脅迫電話が入る。この辺りはミステリーっぽい。特別養子縁組であれば、守秘義務があるはずで何故漏れた?脅迫者は実母のようだが、現れたのは別人みたいで、養父母は「あなたは誰」?
これらの人物の現在と過去を交互に描き、不妊治療や特別養子縁組を絡めて、そして、光や樹々のメタな描写も含めて、ストーリーは重いんだけど時には爽やかに進む。ラスト付近は、予定調和的と感じられたが、これもありかなと。
役者はまさに適役ぞろい。養父母役の永作博美と井浦新、実母のひかり役の蒔田彩珠、スゴイね。蒔田彩珠は、報知映画賞で助演女優賞。NHKの連ドラに出演するそうだし、ブレイク必至。本作では、出産後に元カレを見つめる表情が印象に残る。
ひかりの家族役の中島ひろ子、平原テツ、駒井蓮もいい。「役積み」の効果大きいね。特別養子縁組を仲介するベビーバトン代表、浅見洋子役に浅田美代子。若い妊婦たちが出産する島で、彼女たちに接する姿に、優しさが光る。使ってる自動車がルノー・カングーってのがおしゃれ。この妊婦たちやひかりが上京した時の同僚の女性。借金取り役の青木崇高、若葉竜也。それと、井浦新演じる養父の同僚役の山本浩司。(二人の飲み屋でのシーンがYouTubeにアップされてる🍶)もう一人、ひかりが務める新聞配達店の上役の利重剛。語る口調、姿に重厚感がみなぎっていて圧倒された。本当に、皆さん素晴らしい。
「朝が来る」は、テレビ版もあって、ベビーバトン代表の浅見役は、石田えりが演じてるとのこと。どんな演技なんだろうか?気になるなあ。