香港映画『少年の君』や台湾映画『ひとつの太陽』を見たので、せっかくだから本年度のアカデミー賞国際長編映画賞に落選した日本代表映画もウォッチ!
(…と言いながら昨年内に観ていたのに未レビューだったことに気づいた次第で…)
"生みの親か育ての親か問題"についての物語なんですが……
いや〜、長い!
(余計なエピソード&インサートで尽く気持ちが削がれまくり…)
その上で、物語の出発点〜着地点に至るまでが見事なほどの想像通り!!
(語り尽くされたと思っていたステレオタイプ描写をドヤ感強めで恥ずかし気もなくやれちゃう姿勢が逆に尊敬…)
そのくせ、端々から透けて見えてくる思想性がイチイチ鬱陶しい!!!
(なんで養子を受け入れたら夫婦のどちらかが仕事を辞めなきゃいけないの?現状の養子縁組制度的にもそんな必然性は無いわけで、別に言及しなくていいじゃん…ってかそうした方がいいと本気で思ってるとしたらヤバくない?)
キャストについても、永作さんが素晴らしいのは間違い無いんだけども、どうしても『八日目の蝉』を思い浮かべちゃうから「別にわざわざ本作に出なくても良かったのでは?」と思ってしまうし。
(女優陣はみんな素晴らしかったけど、個人的には山下リオさんが断トツでした!『寝ても覚めても』といいチョイ役でも輝く役者になったよね!!)
"ザ・東京"の風景カットが「非東京人から見たイメージ…ってかまだこの程度なん?」レベルなのも脱力。
(そもそも奈良監督である河瀬直美が東京オリンピックのドキュメンタリー監督抜擢なこと自体に違和感しかないけどさ……こんなステレオタイプで使い古された東京イメージをドヤ顔で映しまくったらマジ勘弁だからね!……ってか、ドキュメンタリー映画的には東京オリンピック自体がいろんな意味で今題材的に"おいしい"状態になっちゃってるわけでね、当然すでにたっぷり素材の撮り貯めしてるんだよね?)
"永作母=都会=人工"と"蒔田母=田舎=自然"の対比と、それでも"同じ海でつながっている"のを見せたいのはわかるんだけども……だったら海無し県の奈良パートいらなくね?
(…と言いつつも、奈良パートはキャストの雰囲気が完全に『沙羅双樹』で良き!笑)
(ドキュメンタリー風演出パートの入れ方もね、西川美和監督の『すばらしき世界』と比べてスマートじゃないし!「これって誰が何のために撮ってんの?」問題が発生案件…)
(ミサンガの件もさ…わざわざ象徴的に見せるんなら簡単に取んなや!…ってかそれなら外すとこきちんと見せろや!…その後も事あるごとに長袖着させて手首隠すなや!気になって仕方ないわ!…どうせだったらアサトくんの手首に永作母がミサンガ巻いてあげるシーンとか描いたらええがな!…その辺をちゃんと演出しつつ90分尺でサラッとまとめてしまうユン・ガウン監督作『わたしたち』を見習えや!…って感じでストレスフルでした)
(以下、クライマックスに触れます↓)
永作母&新父がヒカリの顔を覚えていない件について……
てっきり永作母は目の前の女がヒカリだと気づいた上で「私たちが命を受け継いだヒカリは、こんなダメ人間じゃないから……真人間になってから再び来やがれ!」って叱咤激励的な意味だと思っていたんだけども、、、えっ!?マジで別人だと思ってたの?(と今年一番ズッコケちゃいました…)
まぁ一事が万事こんな感じなので、アカデミー賞ノミネート候補作に残れなかったのも納得ですね。
(そもそも欧米的な価値観で言えば、子どもが生みの親と育ての親を認識している状況なら今後も"キープ・イン・タッチ"でいいじゃん…程度の些細なことだと思うけど)
(あと"男の事情も黙ってわかってあげる感"はもはや通用しないと思うから改めた方がいいのでは…)