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朝が来るのOBのレビュー・感想・評価

朝が来る(2020年製作の映画)
4.4
遅ればせながら贔屓の河瀬監督作品を鑑賞。期待を裏切ることのない流石の一品だった。

監督ならではの虚飾を廃したミニマムな脚本と、光の濃淡や風のざわめきといった自然を使った効果的な演出が今回も冴え渡っていた。

一つ一つのシーンが静かながら明確にメッセージを持ち我々に強く訴えかけてくる。

永作博美さんお得意(?)の薄幸な女性像は相変わらずの名演だが、今回はなんと言ってもひかり役の蒔田彩珠さんに尽きる。

アップを多用したカメラワークに負けることなく表情で語っていく。初めの初々しい可憐な顔から、出産、挫折を経験した後の深みを持った、子を見る眼差しが忘れられない。

社会問題に鋭く踏み込みながら、決して押し付けになることなく、観る側の感情を自然にいざなったうえで最後は希望の光を照らす河瀬作品は、まさしく映画のあるべき姿だと実感。
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