後半、実母へフォーカスするため、ARATA永作博美夫妻の特別養子縁組決定から、子供を授かるまでが光の速さでした。この間の苦労や葛藤をもうちょい描いて欲しかったです。特別養子縁組のマッチングはかなりハードルが高いと聞くし、真実告知の実施やタイミング等々あらゆる検討事項について夫婦間の意見の一致にかなりの時間と精神的労力を要すと思うので。
ただ、無精子症に悩む夫婦の描写は真に迫ったものだと思いました。実際は更に焦燥感が強いとは思うけど。
恐怖でしかない掟破りの実母からの連絡というこの手のトラブルは、少なからずあり得そう。特別養子縁組斡旋業者が将来までフォローする体制を構築できていなければこういう事が起こってしまう可能性を十分孕んでいる。そもそも斡旋業者の殆どが組織力や財政基盤に限りのあるNPO法人。やはりそこは国がサポートすべきで、児童相談所が特別養子縁組斡旋の役割を担っているんだけど、児相といえば多岐に渡る業務で鬼激務なのは周知の事実。もっとこういうとこへ税金を投入して、社会的ケアを充実させなきゃと思いましたね。
妊婦さんたちや現地の人など浅田美代子を含む広島寮共同生活メンバーの、ドキュメンタリーかと思う程の自然な演技に拍手。浅田美代子の聖人かのような佇まいの一方、浮世離れし偏った危ういかんじの人物像にも見える点も良かったです。
