ohassy

蟹の惑星のohassyのレビュー・感想・評価

蟹の惑星(2019年製作の映画)
4.0
多摩川河口の干潟を舞台にした2作品の片方。
もう一本は「東京干潟」。

これはもう、蟹を、とにかくクローズアップで堪能できる作品だ、と言い切っていいと思う。
蟹のクローズアップなんて見て楽しいのかと言われれば、これが結構楽しいのでびっくりする。

蟹って、口が2つあるのかな?
爪で砂を集めて口に含むんだけど、体の中で藻などの餌だけをろ過して砂を別の口のようなところから玉にして吐き出しているのだけれど、そんなの今まで見たことがなかった。
それに、蟹はエラ呼吸なので本来的には陸地では生きていけないのだけれど、陸地にいる間は体に貯めた水を吐き出しながら体に覆わせることで、エラ呼吸をしているんだって。
で、水が無くなってくると酸欠になって、泡を吹くんだって!
泡の幾何学模様がものすごく綺麗だったなあ。

造形もね、見れば見るほどおかしい。
あの爪と足は誰もがイメージするけれど、種類によっては目の内側にも小さなハサミがついてるんですよ。
何なのあれ?超キモいんだけど。
でもってその爪で、目が乾くのか、時々目を拭ったりするのがなんか可愛かったりもして。
蟹って、もしかしてすごく可愛いのかもしれない。

干潟には10種類くらいのカニが生息しているらしくて、15年以上趣味として研究し続けている吉田さんが色々と教えてくれるのだけれど、型にはまらない視点がとてもユニークで、ああ僕もこの人と干潟を歩きたいと思わせる。
蟹はとても敏感で臆病らしくて、ちょっとやそっとでは撮影できない。
その蟹の、超クローズアップの映像がてんこ盛りなのだから、どれほど撮影に費やしたのかが窺い知れる。
吉田さんのお話と蟹のクローズアップ、贅沢だ。

吉田さんと監督のコンビで、蟹専門のYOUTUBEチャンネルを立ち上げると良いと思う。
デビューのお手伝いをさせていただこうかしら。
ohassy

ohassy