Smoky

カセットテープ・ダイアリーズのSmokyのレビュー・感想・評価

3.2
この『Filmarks』に熱心にレビューを書き込む人ような人たちなら分かる、自分の人生や価値観を変えるような芸術に初めて触れたときの「神の啓示感」。詳細や程度の差はあれど、多くの人が大切に抱えている経験や記憶を描いたという点で普遍的な作品。
 
最初は「そうそう」と盛り上がっていたが、たんだんテンションが下がっていったのは、ブルース・スプリングスティーンの熱心なファンじゃないこと、アジア系移民の家族あるあるで、父と息子はそれで良かったかもしれんが、妻や娘(=女性)の境遇はどうなの?という部分でモヤモヤしてしまったこと(80年代の物語でそれを問うのは無理があることも分かってはいるが…)、そして何よりも「カセットテープで音楽を聴くこと」のディテールが殆ど描かれてないことに失望したから(メタルテープって高かったよね?鉛筆でクルクルしなかった?レタリングシートは使わなかった?)これは原題と全く異なる安易な邦題をつけた日本側が悪い。
 
その意味で、本作の後に観た『目指せメタルロード』の方が好みなんだけど、劇中にもあった「他人が本当に好きな音楽をけなしてはいけない」という教えを守って以上とします。
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