ひれんじゃく

カセットテープ・ダイアリーズのひれんじゃくのレビュー・感想・評価

4.0
たまにテンションについていけなくなる時があったけどグズグズに泣いた。思い通りにいかない環境に苦しんで、でも歌に出会って感情を爆発させる主人公を見ていると胸が苦しくなる。ブルーススプリングスティーンのこともよく知らないまま見始めたものの、あまりに歌詞と心情がリンクしてて涙を禁じ得ない。やっぱりborn to runが強すぎるんだよなあ…………………強さがカンストしとる………スタートとラストの構図が重なるのも何もかもズルすぎる…………そして原題も…

音楽が力を持っていた時代の空気を吸えて肺がスッキリしたというか。今だともうSNSとかで簡単に人と繋がれるようになって、その人生の一部を覗けるようになったから、こうやって個人が隔絶されていた時代のように音楽が雄叫びを上げることはきっともうないんだろうなと思って寂しくなってしまったな。人と人とが簡単につながる術がなかったからこそ、自分の気持ちを代弁してくれる歌詞の力に圧倒されるわけだから………ある程度は歌に助けられる時があるかもしれないけど、歌が時代を動かすか?とまではいかない気が。でもまあ個人に寄り添ってくれるだけでも充分か。ひとりじゃないって思わせてくれるだけでも充分過ぎるほど充分か…………

たまに家父長制のグロさが顔を覗かせてくるけど、それをラストで上手い感じに緩和してて上手いと思った。でも多分根本的な治癒には至ってないような気がしてしまってつらい。
ひれんじゃく

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