beans045

カセットテープ・ダイアリーズのbeans045のレビュー・感想・評価

4.0
ブルース・スプリングスティーンが切り拓く人生


父の代にパキスタンからイギリスのルートンに移民したジャベド青年が、成長していく実話を基にしたストーリー。1980年代、不景気を背景とした移民排斥の嵐が吹き荒れていたイギリスで保守的なパキスタンからの移民家庭に育ったジャベド。親父は頑固な労働者でムスリム。その上、家庭では彼の意見が全てで、家族は意見を持たない。いい教育を受けて弁護士、会計士などいい職を得る、これが父からジャベドに期待されたことだった。ジャベドは詩を書くことが好きで、学校のクレイ先生は彼に才能があることを見抜き、「もっと詩を書きなさい」とアドバイスするが、ジャベドはそれは父の期待するものではないと考えて葛藤する。しかも、父は会社からリストラされてしまう。そんな様々な葛藤を抱えた中、ジャベドはボスことブルース・スプリングスティーンの音楽に出逢う。その音楽は彼が抱えたモヤモヤ感を吹き飛ばし、ジャベドの生活が動き出す。

頑固な親父と、息子を理解しようとする母親、「パキ野郎」という差別用語、塞ぎ込んだ息子が音楽に救われるという『ボヘミアン・ラプソディ』を思わせる既視感のあるストーリーだったけど、従順な母親が最後の最後で父親に意見したり、彼の才能を見抜いて最後まで支えたクレイ先生が素晴らしかった。あと、途中で拗ねたけど友達でい続けたマット、ナチスとの戦歴のある隣人等、理解者に恵まれてたなと思った。カセットのWALKMANが1980年代、最強だったんだなぁ。この邦題がちょっと残念。
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