ノラネコの呑んで観るシネマ

カセットテープ・ダイアリーズのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

4.3
1987年、サッチャー時代のイギリスが舞台。
パキスタン移民の子として生まれ、クソみたいな街で閉塞感を募らせる作家志望の少年が、16歳にして“ブルーカラーのカリスマ”、ブルース・スプリングスティーンの音楽と出会い、次第に才能を覚醒させてゆく。
サッチャリズム下、失業率は上昇の一途で、移民排斥を訴えるネオナチが幅をきかせる不穏な時代。
パキスタン人のアイデンティティしか持たず、静かに目立たず声を上げることをしない親世代と、パキスタン系イギリス人の息子世代との世界観の違いが葛藤を生む。
きょうだいでも年長の子は考え方が両親に近く、下になるほどたがが外れるのもさもありなん。
旧植民地からの移民家族のジェネレーションギャップ、というストーリー的には全く意外性の無い話なんだけど、正攻法の感動ファミリームービーに落とし込みつつ、ミュージカル調の音楽描写に未見性を作り出していて、なかなか良かった。
原作者の自叙伝なんだけど、ホンモノの主人公はなぜか演じた役者よりもマーク・ラファロに似てるw