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カセットテープ・ダイアリーズのbluestarのレビュー・感想・評価

4.0
音楽系のメルマガだか何かで、
ブルース・スプリングスティーンが大きく扱われる映画が出来たと知り、
それは注目!観なきゃ!
と思ってから月日が経っていたところ、
SNSを通じて学生時代の友人が観て来て感無量だったと言うので、急いで観に行きました。笑



⚠️以下、ネタバレ気味になります

パキスタンからイギリスへ来た移民家族、父親が封建的で妹が居て、優しい母。
うん、これはボヘミアンラプソディー と同じ流れだけど、事前情報はあえて入れて行かなかったので、ここからどうなっていくのかと思ってたら、
来ました来ました。ボスのヒット曲の怒涛のメドレー🤣

主人公の幼馴染のお父さんと、ボスが好きと言う事で気が合ってしまうところなんかも、流石実話を元にしているだけに年代的にもリアル。

1987年設定だとボスが爆発的に大当たりした1984年からは少し冷めた頃。
だから今はシンセサイザーでしょと学校では揶揄われたりする。

何しろペットショップボーイズの“It's a Sin ”から始まり、当時の80's の他ヒット曲もたくさん流れるから懐かしい😂

因みに、ブルース・スプリングスティーンは1973年に初アルバムを出し、その後Eストリートバンドと共にコンスタントに名曲、名アルバムを出し続けた人気アーティストですが、1984年にBorn In The U.S.A が爆発的に世界中で大ヒットし、その名を不動のものにしたロックアーティスト。

主人公は思春期の青年らしく、作家を目指しながらも、悶々と自分の置かれた家庭環境、将来に対してもがいている中、
そこにピタッと自分の心情を歌にするアーティストに出会い、
今で言う沼にハマる。

それから鬱屈した精神を、ボスの曲で解き放たれる様に活気と自尊心を得る。

頭の固い父との確執、当時のイギリスの不況をもろに影響を受ける家族、移民への人種差別を目の当たりにする暮らしの中でも、
主人公ジャベドを理解する友人や彼女や教師、そしてご近所のおじさんが彼を支える。

この映画、爽やかな青春映画なのだけれど、今この年代になって何故作られたか。

実話だけど、すごくドラマチックな訳ではなく、単に移民の青春映画を作りたかったのではなさそう。
映画になる話を聞いて、自分はボスのファンだから観に行きたいけど、ファンじゃない人に需要ある?とすら見る前には思ったりもした位。だからどんな青春映画になってるのか興味もあり。

観た後の印象としては、きっとパキスタン人の若者もザ・アメリカンのアーティストを愛して、悩みもがき、自己実現を夢見る、あなたと同じような青年なんだよ。と欧米始め、世界中の人に共有したかったのかも。
ちょっとミュージカル調な部分がクサくて現代ぽく無いんでどこまで通じるか、とは思いますが、ボヘミアンラプソディー があそこまで評価された後だからこその今でしょ、なのかも。

中東、南米など各地から逃れて、たくさんの移民が移住している現代では、トランプを始め、あからさまに排他的なスタンスで、悪びれもせず人種差別する人々が増えている事実。
でも、それは何でそうなるのか、
自分と違う人種の人の暮らしや考え方を知らないからじゃないかなと。

知らないから恐れる。
ムスリムの青年も、こんな風に、自分や自分の友人と変わらないじゃないか、
と割と真剣な発想から来ているのでは?と思えた次第です。

シリアやイラクなどからの難民が多くなっている現代だから、この映画はイギリス映画ではあるけれど、世界中で観られたら良いですね。
もちろん、日本も含めた世界中で、ブルース・スプリングスティーンが広まれば良いな🤣

自分事ながら、こちらの青春時代とかなり重なって胸熱でした😂

後半、まさかの主人公の頑張りで、物書きをして収入を得たり賞を取ったりした後、ボスの故郷ニュージャージー州のモンマス大学のセミナー参加のスカラシップを得るのだけど、まさにアズベリーパークの伝説のライブハウスなど、聖地巡りをするのです。

それ、私がかつて短期留学したモンマス大学そのものだし、アズベリーパークのライブハウス“ホワイトポニー”に、ボードウォークに😂
思い出が頭の中で走馬灯…。

またしばらくはボスを聴くかなぁ。
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