ぺんじん

カセットテープ・ダイアリーズのぺんじんのレビュー・感想・評価

4.3
舞台は1980年後半のイギリス。MTV時代の絶頂期。見た目も華やかなミュージシャン達がブームの中心になる中、パキスタン移民の青年を救ったのはアメリカの「ボス」、ブルース・スプリングスティーンだった!
ブルース・スプリングスティーンと言えば”Born in the U.S.A”が有名だけど、「アメリカ万歳」という歌では無くて、貧しい労働者の苦しい生活を歌った歌なんだよね。彼の絞り切るような歌声と歌詞が、場所も人種も違うパキスタン系の移民の心に嵐を巻き起こす!
ちょっと主人公に都合良く物語が進んでいる感じはあったけど、移民差別や当時のサッチャー政権下のイギリスのどうしようもなさがしっかりと描かれていたし、そこを単に批判的に描くだけで無く、彼の家族や友達との関係を通して主人公が少しずつ前に進んでいく姿があってそこがとても良かった!
MTV時代の少年たちを描いた『シング・ストリート』と比較してみるのも面白いし、移民といえば『ボヘミアン・ラプソディ』を思い起こすシーンも結構あったかな。
苦しい状況でもとにかく少しずつ前に進んでゆく大切さを思い出させてくれる一作!社会の荒波に負けずにとにかく前へ。僕らは走るために生まれてきたんだ!
Born to run!!
ぺんじん

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