悠

BEYOND BLOODの悠のレビュー・感想・評価

BEYOND BLOOD(2018年製作の映画)
3.9
2000年代のフレンチホラームーブメントについて当時を代表する監督や出演者等へのインタビューがひたすら流れるドキュメンタリー。具体的に言えば『マーターズ』のパスカル・ロジェ、『ハイテンション』のアレクサンドル・アジャ、『屋敷女』のジュリアン・モーリーとアレクサンドル・バスティロ、『フロンティア』のザヴィエ・ジャンが主に喋っていて映画についてはその4作+『RAW 少女のめざめ』について主に言及しているような内容でした。
マーターズ・ハイテンション・屋敷女は当時小中学生ぐらいだった僕に多大な衝撃と影響を与えたホラー映画の中でも特別な作品で当時はその三作がすべてフランスの映画だと言うことを知らずに観ていて、大人になってから初めて知って改めてフレンチホラーヤバいな好きだなってなりました。そんな僕なのでこのドキュメンタリーはとても興味深く楽しく観させてもらったんですが、フレンチホラーが好きじゃない人が観ても本当にひたすらインタビューが流れているだけなので退屈する内容になっています。
インタビューでは監督達が当時どんな思いやきっかけでそれらの映画を作っていたのかということやそれぞれの映画のルーツだったりを語ってくれるんですけど、一番興味深かったのは自国でのフレンチホラーの立ち位置についてのインタビューでした。日本含め諸外国ではマーターズ・屋敷女・ハイテンションなんて言ったらホラー映画が好きな人なら皆知っている作品ですしかなり評価もされている作品なのに、自国フランスでの国産ホラーの扱いはかなり酷い様で、観客動員数も少なければ低俗な映画だと言われとても白い目で見られているみたいです。僕が前に読んだ某映画雑誌にはフランス国内でホラー映画に出るのはポルノ映画に出るのと同じような扱いになっているというような事が書いてありました。そして監督達本人からその惨状を改めて聞かされて、はっきりとフレンチホラームーブメントは終わったという事を言われたのはやっぱりショックでした。ですがそこで「フレンチホラーは終わりです。あの時代は良かったねぇ(遠い目)」で終わりではなくて、最近だとRAWが高い評価を受けているのでRAWきっかけでまたフランスに新たなムーブメントが起こると良いねという話に発展していったのは本当に同意しかなかったし、そうあってほしいです。
悠