まちゃん

女囚701号 さそりのまちゃんのレビュー・感想・評価

女囚701号 さそり(1972年製作の映画)
3.9
刑事の恋人だった松島ナミ。しかし恋人杉見は悪徳刑事だった。ナミは杉見の出世の道具として徹底的に利用され、裏切られてやがて刑務所に送られる。過酷な運命に遭いながらも復讐の念に燃えるナミは…。列をなす全裸の女囚とそれを舐めるような目つきで見つめる男性看守。繰り返される看守の虐待、女囚達のリンチ。これだけ聞けば扇情的な興味を掻き立てる下品なB級映画として眉をひそめる人も多いだろう。しかし二人の人物によって特異な輝きを持つ作品に仕上がっている。一人は監督の伊藤俊也だ。独特のカメラワーク、回り舞台によるシーンチェンジ、突然の隈取りメイクなど前衛的な演出は印象に残る。アングラ演劇をはじめとした70年代サブカルチャーの濃厚なエキスを感じさせて魅力的だった。もう一人は主人公・松島ナミを演じた梶芽衣子だ。その美貌にはただただ圧倒された。鋭い眼差しはナミの強烈な意志を表現して作品に説得力をもたらしている。そして有名な黒装束姿。後に数多くの作品でオマージュを捧げられたのも納得で魅了された。一人の女優の存在が作品全体の格を引き上げる稀な例がここにある。カルト的傑作という意味が良くわかる作品だった。
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