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くらやみ祭の小川さんのKIのレビュー・感想・評価

くらやみ祭の小川さん(2019年製作の映画)
4.4
府中の"くらやみ祭り"を題材としたホームドラマ。私は府中在住でも出身でもないですが府中に子供の頃から馴染みがあり、府中の駅前のベンチや東京競馬場に向かう際のカーブの坂道が映されると「あーここでロケしたんだー」と少し嬉しくなりました。

日本のご当地映画そこまで予算かけてないのだろうけど役者が豪華でした。主役の小川さんを演じるのは六角精児、その奥さん役が高島礼子。祭りの実行委員長にまさかの柄本明が登場。

お話としては、早期退職を迎えた六角さんが何か手に職を付けようと再就職しようと奮闘しますが上手くいかずそんな時くらやみ祭りに参加していくのですが、地元にいるうちに家庭における問題に直面していくファミリードラマ。

気づかないうちに一線を超えてしまい、ある瞬間に自分のしてしまった行為に対して責任を感じ。今後どうしたら良いのか分からなくなった娘の「正しい道を教えて」に対して、
実際に帰路を間違え「大人だって道を間違えることがあるんだ」と頼りなくてさりげないアドバイス。また、痴呆症の母に対しても彼女の過去の世界に触れつつも、ゆっくりと現実へ連れ戻し、しっかりと手を繋ぐ優しさが見えました。

人波に揉まれながら神輿を担ぐ姿は、汗水垂らし家庭も仕事もめげなかった姿そのもの。頼りない小太りのおじさんがめちゃくちゃかっこよく見えました。こんなん二枚目俳優じゃ絶対できない。六角さん最高です。

府中市全面協力で製作された祭り映画、祭りに対する謎の一体感は日本の文化として誇れる瞬間です。
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