くう

Winnyのくうのレビュー・感想・評価

Winny(2023年製作の映画)
3.3
彼に罪があるとすれば、やっちゃダメと言われていたのにサインしちゃったこと。そして、Winnyを「2ちゃんねる」で検証していたこと…。

事件の顛末も47氏も全く知らなかった。ネットツールと著作権の問題よりも、大きな権力と闘う人たちの物語だった。

飄々として反省もなく、ただ自分の好きなことに夢中になり話し出すと止まらない不思議キャラ……東出昌大、よくキャスティングしたよなぁと感動するくらい合っていた。

「悪気はない」が上手くて……。こういう人を弁護するのも大変だろうな、という空気がシッカリ感じられた。

どういう戦法で戦うか。法廷ものとして興味深く見た。派手さはないが、学ぶことが多い良作。


(ただね……私、仙波さんがその後どうなったのか気になっちゃって……あのエピ、すごく中途半端じゃないですか。そこは不満。)

他のユーザーの感想・評価

ゆカコ

ゆカコの感想・評価

2.7
なんかドラマみたいだった...
題材のソフトを知らない中での見やすさ親しみやすさという意味で
社会的意義のある裁判なのに期待より深みを感じられなかったという意味で
映画館よりも、料理作りながらヨガしながら観た方が満足度上がった気がするという意味でも

ただ金子勇の人間性があまりにも魅力的で感情移入してちゃんと見れちゃったし、最後の演出含めてこの天才プログラマーのことみんなスキになっちゃうね
予告編で妙に耳につく三浦貴大の関西弁イントネーション。
なんの映画かよく知らんまま、謎の予感を頼りに会社帰りにレイトショーへ。

愚直に目の前にある課題に打ち込む者を阻む外的圧。
VS国家権力という図式の法廷劇としてはいささか造りは弱いし、拙速に犯罪立件に導いた警察への追求も甘いが、事実に基づく物語故風呂敷を無闇に広げようとしないのは致し方無し。
国家権力の保守を死守しようとする側のドラマが有れば、より重厚な見せ方になったと思うが、それには尺が足りない。
KEEの役どころが良かっただけにやや残念ではあった。

三浦貴大のパンパンの顔はスクリーン映えしなかったが、宇宙人役をやらせればピカイチの東出君は見応えがあったし、吹越も良かった。
ただ、吉岡君には苦笑を禁じ得ないし、愛媛県警パートは蛇足だったか。

山があれば登りたくなる。
お仕事ムービーとしても優秀。
現在SDGs的前提を武器に、競合他社や取引先のテリトリーの壁を越えてある事業の組み立てを行なっておるのですが、何かを達成したいというよりも、自分がいる業界で他の誰かがやっていないことをやる、頂きは見えないけど登ってみたい山が目の前にあったから登り始めた、上から見える景色は綺麗なんだろか、そんな気持ちで走り始めている案件がある。
エンドロールで金子勇ご本人が映るが、そのピュアな眼差しと決して雄弁ではない無骨な物言いと哲学に感化されたし、明日の打ち合わせで、上手に語るよりも、熱を伝えようと思うのだった。

〜〜

今日の一曲

金子勇が愛飲してたのはオランジーナ
頭使うから糖分摂りたくなるし味覚が子供の時から変わらないのかな

Orange Juice - Rip It Up

https://m.youtube.com/watch?v=UzPh89tD5pA
yuichy

yuichyの感想・評価

4.2
今回のwinnyもそうだし、LINEにしろメルカリにしろ、犯罪行為に使われると、それ自体が犯罪ツール扱いされて、結果、日本からイノベーションが生まれにくい。
この件は、逮捕されたなーくらいの知識しかなかったけど、未来のデベロッパーにとってはマイルストーンとなる事件だったのかもしれないと、理解するいいきっかけになった。

そして、東出君の演技が全く気にならなかった!
た

たの感想・評価

4.3
金子さんのおかげで今いろんなアプリとかが作成されてるんだなあと実感。
エンドロールが主題歌とかじゃなくて、ご本人の映像なのが実話を基にしてる物語だからこそですごく良かった!!

金子さんめちゃくちゃADHD気質で、見てて微笑ましかった(笑)
みぃ猫

みぃ猫の感想・評価

4.0
包丁で【人を刺した人】は逮捕される。
では、
包丁を《作った人》は逮捕されますか?


   

     『Winny』




これは
匿名性に特化した共有ソフト《Winny》の
開発者 金子勇氏🧑🏻‍🦱が

   【著作権法違反幇助】 と言う

不当逮捕から
無罪を勝ち取るまでの7年間を描いた実話





この作品を見て一番印象的に残ってるのは
金子氏🧑🏻‍🦱の人物像✨


彼は
技術者としての探求心がもの凄く強い為、
人生の殆どの時間を研究に注いで来た。

その為、
他の事には無頓着で世間知らずな一面も…
 

劇中で金子氏🧑🏻‍🦱が
「ネット上の言葉でしか会話が出来ない」
と語っていたセリフからも彼がどんな人生
を送って来たかが垣間見れる。


どこか浮世離れしてるけど
世間擦れてない分、とても温厚な人柄✨


そんな金子氏の人柄に惹かれました😌



その反面
警察の汚いやり口にまんまと騙され
"誓約書" と偽り "申述書"を書かされてしまう金子氏😅

⚠️世間擦れしたアバズレな私は
このシーンを見て
「バカと天才は紙一重」と言う言葉が
浮かんでしまった😅
なんて不届者〜〜〜💦





この【著作権侵害幇助】逮捕の矛盾って…


《新しいものごとの開発》には
【様々な問題】はつきもの。


では
その問題が起こったとき
その開発者を逮捕すれば問題は解決するのか?


こんな常識がまかり通ったら
開発者は研究を止めてしまうよ💦

 
【違法に使った人】が裁かれるべきであり
《作った人》は裁く対象ではない❗️



無罪を勝ち取った後に金子氏が語った言葉

「こういうことが起きた時、
 誰かのせいにして終わらせることが
 果たして正しいのかどうか、
 今回の件でよく分かったと思う」

           と語っていた。



正に
この逮捕劇の根本はこれ‼️

《作った人》を逮捕しても犯罪は減らない
【違法なことをする輩】を逮捕しないで
何が問題解決だ‼️





最後に…

《The研究者》な金子勇氏を見事に演じた
  
      東出昌大氏


今回、彼の演技に惹き込まれました〜✨

実は
ラスト知らぬ間に涙が溢れてました😢
泣くと言うより雫が落ちる感じ…

決して激しい映画ではないけれど、
金子氏と弁護団の魂が感じられました✨


正直
東出サンは"棒演技"と烙印を押してたので
今回《役者 東出昌大》を見直した✨
        ↑
    めっちゃ上目線😅
 


それもその筈‼️

今回
金子氏になりきる為、体重を18キロ増量
金子氏が身に付けていたメガネ、腕時計を
着用して挑んだらしい✨


その甲斐あって
東出サンの演技を見た金子氏の実姉が
「勇ちゃんがそこにいる」
と言うほど金子氏に似ていたそう✨



実際
エンドロール後 金子氏の映像が流れますが、
仕草や顔つきまでソックリでした🥹✨







この理不尽に
7年と言う長い長い歳月を掛け勝ち取った  

      【無罪】

でも、
その後、金子氏はたった半年で死去

本当に惜しい人を亡くしました。
ご冥福をお祈りします🙏🏻
たらお

たらおの感想・評価

4.2
実際に起きた事件を元にした一作。
不当に拘束され、多くの物を奪われた者の嘆きの物語です。
ドキュメンタリーまではいかなくても、ある程度は忠実な作りかと。
torrentくらいは知っていますが、事件の全容はこれまで詳しく知らずにいました。当時の時代を上手く再現していると思います。

東出昌大さんの熱演が素晴らしいです。
留置所でのシーンの演技や焦っている、困惑している時の表情や所作等はこの人だからこそ光ったと思います。
それと秋田先生が良いキャラしています。
恋愛に絡めた尋問におけるコツについての台詞は学びになりました。
警察の腐敗、暗部についても触れていますが、裁判パートに入ってからの面白さは加速する一方で勉強にもなりました。

作中にある
『もし、AさんがナイフでBさんを刺したとして、その場合罪に問われるのは? 勿論Aさん。ナイフは罪には問われない』
この台詞が本作の肝、テーマだと思います。
技術は罪ではない。利用者側の問題。
それでも使い方ひとつ誤ればたちまち悪へと変わっていく……
今のネット事情もですし、活用しているつもりが気づかぬ内に道を踏み外していないか気をつけないといけませんね。
Yu

Yuの感想・評価

4.4
ファイル共有ソフト"Winny"を巡る実話の騒動描いた物語。裁判で闘う姿はかなり見応えありました。無罪を勝ち取った7年長かっただろうな。裁判にかけ失われた年月が惜しい。東出昌大さんがハマり役でとても良い演技をしていた。エンドロールまでお見逃しなく。
里紗

里紗の感想・評価

4.4
まるで昨日の続きみたいな、映画を「観ている」ことを忘れさせるぐらいのナチュラルな没入感で引き込まれた。
鼻先をかすめるぐらいの何年か前の出来事で、この裁判や事実の上、もしくはそのただ続きに自分たちの今の時代があるんだなあと思うと凄く不思議な気分。

「今手にしているこの肉を食べるためのナイフで人を刺したとき、捕まるのは刺した人?なら、このナイフを作った人は罪に問えるのか」
冒頭で出てくる簡単なこの説明がすごくわかりやすくて、実際に起こったこのWinny事件を知らない私にもすんなり入ってきて良かった。
そして金子氏の「そんなつもりじゃなかった」という意思にも満たないような単純な気持ちや考えも、呑気だと人に言われてしまうマインドも全部、どうしようもなく理解できて他人事に思えなかったなあ。

常に責任はこれを扱う誰かにあるものであって、この画期的な発明や新しい文化は踏み躙られ消されるべきじゃない。
今の自分の何の気無しの「知らなかった」が、これから先のクリエイターたちの今を無かったことにする。
自分の作ったもののせいで誰かを傷つけているというよりもっと、他の誰かがそれを使ってあなたを傷つけてやろうとしてるんだと、意味がわかるまで諦めずに問い続けてくれる弁護士という一つの仕事もまた興味深い。
ずっと一貫したテーマで分かりやすかった。
金子氏も彼なりに、自分の範疇で必死に責任を取ろうとした結果なのだなあというのが常に見えて涙が止まらんかったなあと、、

また国や年齢みたいな物差しだとか。物理的なものやただのジャンル分けとは違った、もっと感覚的な「何かを好きになる気持ち」や熱量が、時に別の人と自分を繋ぐ一つの言語になり得るんだなあと思えるシーンが沢山あった。
誰かに勝とうとするより、負けないでいるために今できることを考える人がいる。その実直さ、新しい学びでした
ワンコ

ワンコの感想・評価

5.0
【あなたはレジリエント(resilient)ですか】

この長きにわたる法廷劇の影響で、日本のソフトウェア開発が委縮してしまったのであれば、それは僕たちの国が抱える根本的な問題として、この国のあり様も含めて議論しなくてはならないのではないかと思う。

鈴木おさむさんが、この映画の公開に際し、監督や配給を含めた制作サイド、並びに、すべての俳優たちに対し、勇気があると最大の賛辞を送っていた。

日本の司法に睨まれる可能性もあるからという意味もあるのだろうか。

それほど、この事件は日本の社会のレジリエンス(resilience)の欠如を如実に表しているのではないのか。

最近、「レジリエンス」或いは「レジリエント」という言葉をよく見聞きするようになった。

弾力性や回復力が強いという意味で使われることが多いが、柔軟性があるという意味とは少し異なり、対義語が硬直性ではなく、脆弱性というところから考えても、社会システムを表す言葉として意味があるのは明らかなような気がする。

(以下ネタバレ)

金子さんが、Winnyに対して著作権者の権利を保護できるようなプログラムの変更を加えて改善しようとする行為はレジリエンスなのだが、司法当局が、当時の”現行”の著作権法を考え直さなくてはならくなる云々の言い訳のような発言から考えるに、日本の司法システムが硬直的だと考えられがちじゃないかと思う。

ただ、ここからが本題なのだけれども、重要なのは並行して進行する裏金問題のストーリーだ。

この作品は、この裏金問題とWinnyを巡る京都府警の問題の根っこや本質は同じだと言いたいのだ。

裏金を利用するメリットを手放すことが出来ないという状況と、京都府警が原告になってでも金子さんを訴追しなくてはならない理由。

そこにはいったい何があるのか。

単に流れなのか、思い込みなのか、無知なのか、特定の業界からの突き上げなのか、執着なのか、著作権侵害をいちいち取り締まるのは手間も時間もかかるから蛇口を閉めることが一番なのだという逆説的楽観主義なのか。

組織として考えると、ちょっとしたほころびを修正するどころか、傷口が逆に広がってしまうという結果。

これは硬直的なのではなく、脆弱そのものではないのか。

最近の、放送法を巡る安倍・磯崎も含めた高市早苗に受け継がれた”であろう”あれやこれやもそうだ。

こうした過程を経て、「国境なき記者団(RSF)」による報道の自由に関する国際ランキングで、2022年、180か国中、日本は71位までランクを落としてしまった。

日本の国家システム自体がレジリエントじゃない状況、つまり、脆弱なのではないのか。

どこが民主主義国家だ。

5ちゃんねるに名称を変えた2ちゃんねるもそうだ。

佐藤優氏によると世界的にも稀有な誹謗中傷サイトらしい。

もし、当時の2ちゃんねるの利用者のほとんどが一定のモラリティのもと、Winnyを違法な動画共有や配信などに利用しさえしなければ、2ちゃんねるは世界とは言わないまでも、日本で確固たる市民権を得ることが出来た情報共有サイトになることが出来たのではないのか。

1600万円もの寄付をした2ちゃんねるのユーザーには敬意を表するが、YouTubeやTikTokなどの世界的な動画アプリが席巻していることから考えると、彼らも本当に腑(はらわた)が煮えくり返る思いだろう。

繰り返しになるが、もしWinnyの合法的な利用が広がれば、ある社会学者が言う、5ちゃんねるに蔓延(はびこ)る「冷笑文化」もなかったのかもしれない。

それほど、この事件は分岐点になったのだ。
シネマQ

シネマQの感想・評価

4.0
法廷劇ながらミステリーの方に向かわないのが好感。どうしても言語的になる部分もあるけど、証言の捏造であったり、難しい技術用語の世代間の齟齬、プログラミング言語だったり、言葉を主題そのものとして扱ってて乗り切れてるように思う。
東出昌大と三浦貴大の友情劇としても。一人で見上げていた空を共に見上げる仲間が出来た。金子勇にとってはそれだけでもWinnyを作った価値があると。
吉岡秀隆パート、必要性は分かるんだけど肩に力入りすぎでは。
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