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WinnyのKOZOのレビュー・感想・評価

Winny(2023年製作の映画)
4.3
「Winny」と聞いて懐かしいなあとの思いと同時に、当時、ファイル共有ソフトとして映画や音楽が著作権は関係なく無料で楽しむことができるなんて大丈夫?という懐疑的で、負の側面で捉えていた。

警察や検察は根本である開発者を見せしめに逮捕したことで、Winnyを使うことは恐ろしく、こんなことをするとただじゃ済まないということを社会に見せつけたかったのか。
Winny=悪とのレッテルが最初に書いた負の側面を植え付けられたのは間違いない。(今となっては深く考えずに申し訳ないと思う)

ソフトの開発者、技術者として、純粋にこの社会が良くなるようにとの思いでWinnyを開発していた金子勇という人が不用意に自分が不利になるような調書にあまり考えずに署名したりする不器用な生き様は見てて辛い。

彼と支援する弁護団の権力との闘いを描き、そこに記憶にないのだけど、愛媛県警の裏金事件を絡めた硬派なドラマ。
愛媛県警の事件は内部告発をした巡査部長に対する嫌がらせが怖い。
2つの事件の絡みが薄いのがちょっと残念。

W主演として、実在の人物を演じた東出昌大と三浦貴大の演技に引き込まれる。
東出昌大は復帰後もう何本主演作を観てるだろう。昔から“棒”と批判されることが多いのだけど、最近の作品ではそれを感じさせない。今作では金子勇という人の独特なキャラクターを演じて観る側に共感させることに成功している。
三浦貴大は言わずもがなサラブレッドなのに、なかなかな悪役(昨年の『夜明けまでバス停で』のわかりやすいクズ上司とか)を演じたりしてて気になってる。今作の熱い弁護士役も良かったな。

脇役で良かったのは、クセが強い敏腕弁護士の吹越満、最初全く誰かわからなかった皆川猿時、わずかな出演シーンながらインパクト大の吉田羊、金子大地、KEE…

最終的には最高裁で無罪を勝ち取るものの、その後間も無く若くして亡くなった金子勇の技術者としての魂を、後に続くソフト開発者たちが勇気を持って受け継いでいっていると信じたい。
思っていた通りの力作だった。
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