矢嶋

Winnyの矢嶋のネタバレレビュー・内容・結末

Winny(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

金子氏本人の映像も出てきたが、話し方や所作をかなり似せていたのがよく分かった。
メディアが意図してオタクを描くと極端になりがちだが、適度なバランスになっていたと思う。落ち着きがなく早口で、笑いのセンスが一般人とずれているというか。

単純に事件の詳細や技術的な意味での興味深さもあったし、裁判におけるやりとりや警察の狡猾さも面白かった。

良くも悪くも大作的な作風になっていて、エンタメ感が強かった。
弁護士やねらーの協力で警察・検察に立ち向かっていき、警察の不正も暴かれる等
展開もすっきりする。いい意味での単純化により、技術的な要素が絡むにも関わらず分かりやすい内容になっていたと思う。

ただ、かなり金子氏側によった作風で、彼は純粋且つ正義感の強い技術者であり、逆に警察は悪者という描かれ方だったのは注意が必要だろう。
本作を見ると、日本は司法及びIT後進国、警察は信用ならない、マスコミは下劣、悪用した側が問題であってWinny自体は良いもの…という印象を抱きやすい。

それはある程度妥当かもしれないが、あまりにも一方に偏った視点は危険と思える。
もちろん、逆に金子氏を一方的に叩く内容でも同じ。

こうした体制批判要素の強い作品を大手シネコンで上映できる点は、作中で触れられた検閲等の観点からしても評価できる。
しかし、残念なことに日本人は作品に対するリテラシー・読解力が高いとは言えないため、偏った視点が”蔓延”しないかは少々心配と言える。
矢嶋

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