ポルりん

絶対に怖い話のポルりんのレビュー・感想・評価

絶対に怖い話(2015年製作の映画)
2.4
1.被写体のない写真

夜の山道を走る一台の車。
突然、目の前に下着姿でボロボロになった少女が現れた。
駆け寄る車のカップル。
放心状態の彼女の手には一枚の写真が握られていた……。



この話の構成は、現在から入って、過去を振り返るかたちで物語が展開し、最後に再び現在に戻るタイプの回想法・・・いわゆるサンドイッチ回想法を手法としている。
史実を元にした映像作品で使用されているケースが多いのだが、ホラーやミステリー、サスペンスなどで使用される事も少なくない。
この場合、必ず何かしらの謎を提示し、回想にてその謎を解明しないといけない。

本作の場合の謎は、

(1).写真の裏に書いてある「タスケテ」とは??
(2).何故、山奥で女性が下着姿になっているのか??一体彼女の身に何があったのか??

となっている。

普通、これらの謎を視聴者に提示し、話を過去に遡るのであれば、これらの謎をしっかりと解明しなければならない。
しかし、信じられない事に、本作ではこれらの全く謎が明らかになっていない。
一応、本作では、これらの謎を回想ではこのように描いている。


(1).メモ用紙に書いてある「タスケテ」とは??→

山奥で主人公が発見した首吊り死体の近くに落ちていたものであり、主人公が書いた訳ではない。
結局、誰が何の為に書いたのかも分からないし、死体の近くに落ちていた意味も分からないし、何故首吊りをしたのかも分からない。
更に、何で主人公がこの写真を握っていたかも分からない。


(2).何故、山奥で女性が下着姿になっているのか??一体彼女の身に何があったのか??→

車の中で兄貴を待っている最中、非通知で電話が掛かってくる。
電話に出ると、最初から最後まで何言ってるか分からない言葉を話す(普通は、始めは何言ってるか分からなくても、徐々にボリュームを上げていき、最後にはハッキリと聞こえるようにするんだけどな・・・。)。
次のシーンで、何故か主人公が下着姿で例の写真を握り、フラフラと道を歩いている。
一体、何があった!!


このように、本作ではサンドイッチ回想法を使っているにも関わらず、全く謎が解明されず更に謎が増えるという事態になっている。
バカかよ!!
まあ、これでストーリーが秀逸ならそれでもいいのだが、ストーリーばかりか演出・キャラクター・設定などが救いようのない糞なので、単純にウザく思ってしまう。

回想という事でモノクロにしたのだろうけど、これは過去と現代を分かり易く表現する為に使用する訳であるので、9割5分が過去の場合なら特に使用する必要がない。
まあ、モノクロにする事で演出やストーリーに深みが増す場合もあるが、本作の場合はそれに全く該当しないので、浅はかとしか言いようがない。
サンドイッチ回想法なのに、回想しているキャラクターの視点をコロコロ変えるし・・・。
普通に、回想法を使用しない方が良かったんじゃないかな??


あとさぁ、首吊り死体なのに何で地面に足付いてるかな・・・??
あれじゃ首吊り出来ないよ・・・。



2.消えない手形


恐怖の心霊スポットがあると聞き、とあるトンネルの車内で様子を見ていると白い手形がフロントガラスに付いていると気付き・・・。


オチはサブタイトルを見ただけで読めるし、演出も演技も下手なので微塵も怖くない。
今時、こんなんで怖がるかよ・・・。



3.ベッドの下

例の日本で一番有名な都市伝説。
ただ、普通と唯一違うのが、ベッドの下にいる斧男が実際に襲い掛かって来る点と、その斧男に包丁を持って立ち向かいデスマッチを繰り広げるという点である。
というより、物語開始30秒ほどで、斧男がベッドをぶち破って登場しバトルが始めるので、この話の大半がバトルである。

斧男との激しいバトルの後、、


主人公が寝床につこうとすると、ベッドの下に斧を持った男が!!

主人公「なぁ、今からコンビニ行かね??」


といった主人公の回想を入れているが、何でこんな回想入れたんだ・・・??
オリジナル(?)の場合なら回想を入れることにより、オチを強調し恐怖を駆り立てる効果はあると思うが、今回の場合は、序盤で斧男がベッドをぶち破って登場しているので、オチが丸分かりの状態だ。
ベッドの下からぶち破って登場したのに、それ以外どこから出現したと思うんだよ!!

もしかして制作陣は、視聴者の大半が登場シーンを観て、アパートの下の階に住んでいる住人が大ジャンプし、天井を突き破って出現したようなイメージを抱くとでも思っているのだろうか・・・。



4.経理の女

職場の上司と不倫関係を続ける投稿者は、ネットの掲示板に“経理女”のハンドルネームで投稿をしていた。
ある日、会社に上司の不倫を暴露するFAXが届く。
投稿者の周りにも奇妙な出来事が起き始め…。


いいんじゃないですかね。
ネットの怖さをイイ感じに描いている。
一見、完全なフィクションに思いがちだが、実際にこれに近い事件もあるし、これよりも悪質な事件も発生している。
制作費が何十倍の「誰も守ってくれない」より、遥かにネット住人を上手く描いているのではないだろうか・・・。



5.女


特に予想外の展開はなく、シンプルで先が読める話ではあるが、演出がしっかりしているので普通に楽しむことが出来る。
こういうのでいいんだけどね・・・。



6.インプラント


「劇場版 呪怨2」のラストのような展開になるかと思いきや、想像だにしなかった驚愕の展開!!
これは読めなかったな・・・。
恐ろしい話ではあるが、最も恐ろしいのは、主人公が集団レイプ以上に酷い目にあったのに、


主人公「不思議な目にあったなぁ~~」


で終わらせる強靭なメンタルである。
この主人公は今までどれほどの修羅場を潜り抜けて来たのだろうか・・・。

それと、生理中なのに妊娠する事に対して疑問に思っていたが、生理中でも妊娠するんだけどな・・・。



7.遺書

家賃の取立てをしている投稿者はある日、変人だと評判の家を訪れ、遺書を発見した。
そこには「あいつをころして、ぼくもしぬ」の文字が・・・。
投稿者は残酷な想像をするが、真実はより凄惨で恐ろしいものだった・・・。


冒頭、主人公(男)が後輩(男)から今から取り立てに行く場所は変人と噂されるとの説明を受けるシーン。
バスト・ショットだと全く気付かないが、カットが変わりフル・ショットになると主人公のチャックがフルオープンになっているように見える。
よく見ると、主人公のネクタイが長すぎる為にフルオープンのように錯覚しただけなのだが、観る人によっては勤務中に主人公(男)と後輩(男)が公園のベンチで一発ヤった後の事後と勘違いするんじゃないか??
それと、一年も家賃滞納出来るの??

物語の伏線やミスリード、アイデアはかなり秀逸で評価出来るのだが、如何せん現実味が無さすぎる・・・。
キャラクターの設定をもう少し練り、リアリティを持たせていたら、かなりの良作になっていただろう。
ポルりん

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