ちゅう

パヴァロッティ 太陽のテノールのちゅうのレビュー・感想・評価

4.1
"彼は歌を生きた"
"有名な歌を歌うとき、差し出せるのは自分の人生だけだ"


彼は人生を、世界を存分に楽しんで生きた。
それはもちろん周りの人たちを幸せな気分にさせたし、遠くで見ている僕たちまでも楽しい気分にさせる。

彼は歌に選ばれたのだ。
そしてそれを自分のためにも人のためにも十全に使い切った。
それはとても素晴らしいことで、生きる上で見習うべき姿勢だと思った。


三大テノールの一人であるルチアーノ・パヴァロッティの一生を追ったドキュメント。


僕はクラシックでいうとピアノ曲は結構聴いたことがあるのだけどオペラや声楽はほとんど聴いたことがなくて、劇中にかかる曲もほとんど知らなかった。

それでも映画館の音響で聴く彼の声は心地よく、また内容も彼の人生に迫ったものだったからとても面白く感じた。


テノールは三種ある男性の声域の中で最も音が高い。
その中でも高い音であるハイCをきちんと出せるかどうかがテノールとしてやっていく上で重要だという。
彼のハイCは素晴らしく、耳がビリビリすると劇中のインタビューで語られる。
そのあと実際の彼のハイCが流れるのだけど、映画館の音響とはいえ生音でないのに耳がビリビリとした。
なかなかできない素晴らしい体験だと感じた。

また、彼の人柄も素晴らしい。
明るくポジティブで周りにいるものを楽しくさせる。
副題が太陽のテノールとなっているが、まさに太陽のような人だ。
クラシック界を超えて世界中で愛されたのもうなづける。


オペラが主題ということで興味のある人は少ないとは思うけれど、一人の男の人生としてもとても興味深い作品だ。
もしクラシック音楽に拒否感がなく、音楽に多少の興味があるのであれば観てみるのも良いと思う。
きっとあなたの世界は広がるはずだ。
ちゅう

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