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宝島のnagashingのレビュー・感想・評価

宝島(2018年製作の映画)
3.5
タイトルとエピグラフと構成によって、ありふれた行楽がアバンチュールとして再解釈されるマジカル。カラフルな水着が華やぐ色彩の豊かさを枕に、多様な人物の去来を紡いでいく。ワイズマンの『セントラル・パーク』を想起したのは管理された公共圏とその舞台裏をとらえているからだけど、そこから排除・禁止されたものにもフォーカスするのは、楽園の欺瞞を暴き立てるためではなく。レジャーアイランドとなる以前の未整備の湖川時代が懐古されて時間的なスケールが生起すると、園内への不正侵入、川への飛び込み、禁止区域での遊泳といった野蛮な逸脱は、むしろ現在の監視の裂け目から深層にある過去の原風景へとアクセスする試みのようにすら思えてくる。
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