ヒロ

見えない太陽のヒロのレビュー・感想・評価

見えない太陽(2019年製作の映画)
3.9
映画としての派手さはない。

どこにでもいそうな普通の若者が、いつのまにか、何かしらのきっかけで、イスラム過激派に傾倒していく。理由も明らかにならない、というよりも定かな理由など、そもそも見当たらないのだろう。

しかし、準備は着々と、日常の中のあたかも「若気のいたり」の延長線上で整えられていく。

だから、対処の手だてもない。

それは、ある意味で最も恐ろしいことであろう。

しかも、青年がすべてをなげうって向かう組織は、彼が描いた理想郷を守ってくれもしない。

結局、家族はおろか本人でさえも救われない。

その危うさ、悲劇性が、今ドラマの最大のテーマであり、だからこそ、このような静かな描き方になったのだろう。

IS等のテロ組織に若者が傾倒することに関心がある方なら、非常に考えさせられる一本となるだろう。
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