映画としての派手さはない。
どこにでもいそうな普通の若者が、いつのまにか、何かしらのきっかけで、イスラム過激派に傾倒していく。理由も明らかにならない、というよりも定かな理由など、そもそも見当たらないのだろう。
しかし、準備は着々と、日常の中のあたかも「若気のいたり」の延長線上で整えられていく。
だから、対処の手だてもない。
それは、ある意味で最も恐ろしいことであろう。
しかも、青年がすべてをなげうって向かう組織は、彼が描いた理想郷を守ってくれもしない。
結局、家族はおろか本人でさえも救われない。
その危うさ、悲劇性が、今ドラマの最大のテーマであり、だからこそ、このような静かな描き方になったのだろう。
IS等のテロ組織に若者が傾倒することに関心がある方なら、非常に考えさせられる一本となるだろう。