風来坊

ブレイム・ゲームの風来坊のレビュー・感想・評価

ブレイム・ゲーム(2019年製作の映画)
3.5
表向きは政府関連の通訳をしているが、裏の顔はドイツ連邦情報局の諜報員の主人公が、愛人の死をきっかけに謀略に巻き込まれ窮地に陥りながらも事件の真相に迫っていくドイツ製のポリティカルサスペンス。

主人公役の俳優さんがトム・ハーディーさんに少し似ている。諜報員の宿命かも知らんけど、恋人にまで本名明かさないとか…どうも主人公の感情に添えなくてちょっと取っ付きにくい。

本名は明かせないけど大胆に逢瀬を重ねたり、言葉が分かっていないとはいえ人が居る前で尋問とか諜報員として失格じゃないかと思う所がいっぱいあります。簡単に尾行に気付かれたりと色々と詰めが甘い…。

彼らにとっては通常の出来事に過ぎない事から、キナ臭い匂いが充満して来て下衆な思惑に満ちる展開は重厚で面白い。
裏切りと昨日の敵は今日の友的な展開も良かった。

主人公が派手に行動せずに、諜報員らしく情報を集めて分析していく静かな戦い情報戦がリアルな感じで良い。行動を制限されてるという状況を上手く利用しています。

ただ裏切り者が誰かは話の展開の狭さ等で感づいてしまうし、ミスリードの仕方や伏線の張り方は上手くない。話の終着点も大体予想通りで意外性はなく平凡な感じは否めません。

テロや愛国心を利用して権力を維持する政治とそれに寄生する企業。人の命など何とも思わぬ下衆さ…そんな胸糞悪さと闇の部分はよく描けていましたね。主人公の弱さ甘さの決断もこの混沌とした世界で生きていかなければならないような諦めを感じてなかなか胸に残るものがありました。

諜報員と聞くと007のような派手な展開をつい期待してしまい、リアルな展開が地味に感じてしまいますが、説得力があってかなり楽しめた硬派なポリティカルサスペンスでした。

まとめの一言
「下衆な奴らが世界を作る」
風来坊

風来坊