【メタでドロン】
Netflixで推しているのかメニューによく出てくるし、たまにはこんなんも、と見てみた。
バカリズム脚本作は『地獄の花園』『ウェディング・ハイ』を劇場以外で見たが、映画の醍醐味が無味で興味は失せた。普段の生活から笑いは充分得ているし、お笑い芸人としても興味を持てずにいる。
これ元々、バカリズムがOLのふりして延々綴っていたブログが元ネタなのか。実験精神から始めた面もあろうけど、こう実写版映画にまで変質すると、作者としての立ち位置も随分、変わってきたのでは?
独りの脳内妄想から、大勢の力で可視化された架空の現実に、外から忍び込んだトリックスターみたいに動いている。で、延々続くように描けばいいのに、最後でバツンと“我に返っちゃう”のがイミフだった。
あれではバカリズムというメタな存在だけが悪目立ちして、今までの“OLあるあると、シニカルにツッコむトリックスター”という構造での面白さが帳消しになっちゃったのではと。
何かを達成したわけでもないのに、飽きたのか、居場所失せたと達観したのか…急にドロン!だもんね。
ざっくり素直に、いつもの邦画の限界だなあ…とも感じたけれど。
“OLあるある”は多分、身近な周囲から得たり、聞き耳を立てたり等で収集したネタ群で、オッサンでも表現可能なレベルかと。でもこの類の面白さって、今では日常系のマンガ等で、スマホ等から充分得られるから、わざわざ映画館に行く気にはなれない、自分的には。
しかし、オッサンがこんなことを書いて演じて…要は変態なのに、そうは感じさせない匙加減が巧いとは思う。クリエイティブ・ストーカーとでも言うべきか。本作の要って、そのへんじゃないかなあ。
画的な特質は、女優で現実より美化された空間に、バカリズムの昆虫みたいな視線が実は、もんげえキモく刺さってる!が、まさに虫が擬態するように溶け込めるのが、どうにも褒めづらい才能ではと。
締めとしては例えば、本作の物語を日記として延々綴っていた架空OLが、実は“ナオキックス”だった!とのメタオチにした方が、単体の猟奇ホラーコメディとして強烈に、完結できると思いましたのココロ。
<2024.8.9記>