バカリズム作品に興味が湧き、公開当時振りに再鑑賞。
バカリズムがOLの一員を演じ、その日常を描いたTVドラマの劇場版。
改めてみると、脚本担当・バカリズムの意地が悪い部分を強く感じたものの、ドラマ版以上にカタルシスのある終盤に納得がいく映画版だった。
「今のうちらに必要なのはさ、真実じゃなくて矛先だからさ」
何よりも劇中で二回ほど繰り返されたこのセリフが、割と本作(及びドラマ版)の核心を突いていたよなぁと思った。
放映当時、シリーズを追いかけていた頃は、OLメンバーのあるある描写や悪口にツボっていたけれど、今となってはそこに複雑な思いを抱えるようになったのも事実で。
というのも、特にドラマ後半~映画版では、主人公たちの上司や同僚に対する悪口が次第に理不尽になっていき、観ていて純粋に笑えなくなる部分も多かったから。
女子グループの連帯を強めるためなのか、他者を下げることで自分の価値を高めようとしているのか、なにはともあれ、仮想敵として選ばれた人物たちは見えないところでバッシングを受ける。
この様子はコロナ禍を経た今見ると、SNSでの過剰なバッシングにも被るものがあった。
とはいえ、クライマックスの展開からか、鑑賞後はドラマ以上に切なさも感じた。
仲良し独身OLグループの退勤後の集まりや、休日のおでかけ。
これらの日常は終盤に起きる"あるイベント"からも永遠に続かないことは示唆されているが、そこで"あのラスト"が訪れるという……。
ありふれた日常の愛おしさが際立つ衝撃のラストを経て、エモいボーナス映像と、お馴染みED曲のアレンジ版が流れるエンドロールには、ちょっと泣きそうになった。
ドラマ版のファンにとっては大満足なのはもちろん、シリーズ初見でも楽しめる本作。
「素敵な選タクシー」、「ブラッシュアップライフ」といった傑作ドラマで、脚本家・バカリズムにはまった人にこそ見てほしい、バカリズムワールド全開の一作だった。
参考
架空升野日記-バカリズム公式架空ブログ-
https://ameblo.jp/bakarhythm/
(バカリズムが、かつて実際に執筆していたブログ)
現代版『土佐日記』としての『架空OL日記』|Tetsuki Ohya
https://note.com/tetsulikemovies/n/nb88b45033258
(公開当時にアップした感想をサイトの閉鎖に伴い、再投稿しました。よければ是非!)