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さすらいのsonozyのレビュー・感想・評価

さすらい(1975年製作の映画)
4.5
1976年ヴィム・ヴェンダース監督作。初期のロードムービー3部作の3作目。

アメリカの写真家ウォーカー・エヴァンスの写真がインスパイア元という事で、『都会のアリス』同様、撮影監督ロビー・ミューラーのモノクロの映像の味わいと音楽がいい!

裸にオーバーオールで、家替わりの大型トラックに乗り、小さな町の映画館を巡回し映写機の調整などをしている、さすらいの映写技師ブルーノ(リュディガー・フォグラー)。
ある日川べりに停車していると、かなりのスピードで飛ばしてきたビートルが川に突っ込むのを目撃。
トランク片手に脱出してきた"カミカゼ・ドライバー"のローベルト(ハンス・ジシュラー)という男をトラックに乗せ、二人のロードムービーが始まる。

ブルーノはこの仕事をひとりで2年やっている。一方ローベルトは小児科医に近いという仕事で最近妻と別れたばかりという。

互いに多くを語らないが、寂れた映画館、子供たち向けの上映会、閉館を決めた映画館、、そして互いの実家に立ち寄るうちに、徐々にそれぞれが抱えている過去や心情が見えてくる。

ブルーノがトラックの中で聴くのはアナログレコードですが、そのプレーヤーが不思議な形。(CDプレーヤー風にスリットからレコードを入れる方式)

11週間をかけ、東ドイツ国境沿いで撮影され、脚本も移動しながら決めていったそう。
約3時間と長いですが、彼らと共に旅している感覚になる、これぞロードムービーという感じです。
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