「普通」というはっきりしない概念と言葉を嫌うドクタールースの底しれない明るさと優しさを形作ってきた世界と個人の歴史にずっと泣いてた。
最愛の人と添い遂げながら、最初の恋人と純粋な友情が続いてるの素敵すぎて。ただの初恋じゃなくて、ナチスに追われて家族とはなればなれになりながら二級市民として生きてた時代の恋。そんな状況のふたりがどんなふうにお互いを求めあったのかわたしには想像しかできないけど、想像すると胸が苦しくなる。
同性愛精神病説とか女性無性欲説とか笑い飛ばせるいい時代になったって思ってしまうけど、いい時代に「なった」んじゃなくてドクタールースや世界中の名もない市井の人々がいい時代に「した」んだよね。密室で、同意のある者どうしのあいだで行われることはすべてノーマル。