【秘密】
『下ネタをバンバン言う、ちょっぴりお下品で元気なおばあちゃんのパワフル日記』
鑑賞前の何となくの印象。
「元気なおばあちゃんのパワフル日記」という点は合っていた。
ルースはとにかく元気。90歳とは思えないくらいに毎日を生き生きと忙しく生きている。
でも肝心の「セックスセラピスト」としての彼女に対して、僕、あるいは日本人的な(性に対して若干ネガティブな)人たちは、こういう明け透けな物言いをする人に対して、ちょっと斜に構えてしまう。
(もう、お下品なんだから)
でも、本心は違う・・・よね?少なくとも僕は。
「お上品」か「お下品」かって聞かれたら、僕は「お下品」な人間ですよ(笑)
そして別にルースが下品な人ということでもないしね。
彼女が性に対してここまではっきりと意見を述べること。
それは彼女の生き方、生き様そのものが辿り着いた結論のようなもの。
彼女は「あの時代」にユダヤ人としてドイツに生まれた。
・・・もうそれ以上ここで書く必要はないくらいに世界的な共通認識。
憎しみのかけらもない素晴らしい家族に育てられたルース(ドイツ名はカローラ・シーゲル)。
しかし彼女が10歳の時、幸せはあっという間に消え去る。
それから彼女は生きるために「行動」した。
「配慮」と「遠慮」は違う。
遠慮してばかりいても、結局は人生の遠回りを自分に強いているだけ。
幼い頃の淡い恋愛についても、つい昨日のことのように目を輝かせて語るルースからは、常にその時その時を「生きていた」事がヒシヒシと伝わってくる。
だからこそ「行動」なのだ。
ルース曰く
「セックスとは相手を知ること」
だから、教えてくれるのを待つのではなく自分から知りに行くのだ。
そしてそれこそが幸せなセックスに繋がるのだ。
相手に遠慮してばかりいて、自分の気持ち(欲求)を抑えつけることだけを美徳のように考えるのではなく、まずは「行動」しなさいと。
セラピーの最中は、それはそれは、ここで文字に起こすのも恥ずかしいくらいの単語もバンバン飛び交います。
でも、彼女はいつだって明るくまじめに答えているから、そこに卑猥な感じは全くありません。
彼女は幸せなセックスを通して、人に「自分の人生の生き方」を説いているのです。
(あなたのセラピーで人生が救われた)
大袈裟なようだけれども、本当に多くの人たちが彼女に心からの感謝を送る。
きっとこの作品の捉え方は男性と女性で違うものなのかもしれない。
実際、鑑賞した日はレディースディで劇場の8割近くが女性でしたが、ラスト辺りでは涙を拭う女性もチラホラ。
単純に下ネタをペラペラ喋るだけのおばあちゃんじゃありません。
彼女の人生を通した経験から出てくる言葉の一つ一つに重みがあって、とても一言で感想を言えるような内容ではありませんでした。
・・・そして、ここまで真っすぐに生きるルースを前にしたとき、僕はまだまだなんだな~と、そんなことをぼんやりと感じてしまうのでした。
・・・それにしても、さらっと「ガマン汁」とか言っちゃうルースにはちょっぴり度肝を抜かれましたが(汗)
とにかく彼女の底抜けの「明るい元気」からは、こちらもとてつもない元気を貰いました。
お薦めです。