ペイン

糸のペインのレビュー・感想・評価

(2020年製作の映画)
3.8
菅田×小松、3度目のタッグ作。

『花束みたいな恋をした』では“ブラジルW杯でドイツに7点取られて負けたブラジル代表の悲劇”しか触れられていなかったのに対し、本作は3.11という我々にとっての更なる悲劇を真っ向から描いていた点は誠実と評価できるかもしれない(※3.11を描くことが誠実とも限りませんが)。

どちらの作品も主演キャスト及び主人公キャラクターの年齢、時代背景や出てくるカルチャー等が自分とドンピシャ被っていたので見比べることが出来て良かった。

ただ作品のテイストは真逆で、『花束~』がある一組の恋愛の始まりから終わりを観察し、これでもかとリアルに描く恋愛に関する“純恋愛映画”なのに対し、『糸』は主人公2人が結び付くまでを描く“純愛映画”である。どちらがより現代的で今の時代にマッチした恋愛映画なのかといえば当然『花束~』であり、映画としての語り口の巧妙さも『花束~』に軍配があがる。

実際『糸』はお涙頂戴シーンや、強引でご都合主義的シーンは多い。これでもかとベタにベタを重ねていくわけだけれど、ただその良くも悪くも力業で押し進めていく感じというか、執拗にリアルとかに拘らず深く描こうとし過ぎないシンプルさに好感も持った。いわゆる情に訴えかけてくる昔ながらの邦画っぽいのだ。また、この作品を瀬々監督が撮っているというのも感慨深い。

言うまでもなく、主演の菅田&小松は芸達者だな~と思わされたし、特に菅田くんは個人的に最近『花束~』、『糸』、『共喰い』←(これが大傑作!)を立て続けに見てそのカメレオン俳優ぶりに驚かされた。それと『余命一ヶ月の花嫁』よろしく、榮倉奈々がまた余命宣告される役を演じていてこちらもかなり◎

P.S.
小松がカツ丼を不味いと言いながら泣いて食べてるシーンと終盤の対比、成田の男泣き「ファイト!」合唱、どんぐりのくだりで個人的に涙腺が弛みました(笑)あ、あとさらりと友情出演した二階堂ふみが何気に強烈なインパクトを残す。