まずは中島みゆきの「糸」の思い出から。
世の中の絶望的な流れを嘆いた夜に、妻と何度も聴いたあの夜。
母が入院していた介護病院のお祭りにバックで流れ、母も含め入院している方々の過去と現在を想い思わず涙したこと。
もうこの数分間で完璧なドラマと世界観を持ち得る名曲中の名曲。
いくら企画とはいえ、よくこの映画化に踏み切ったと思うよ😅
いい曲をバックにちょっといいシーンを撮れば、「感動」が生まれるはず、売れる映画ができるはず、
安易な企画から始まったのだとは思うが、
それぞれの役者さんがパーツごとに、
役割を果たして、ゴールを駆け抜けるスターさんにバトンを繋いでいけたので、それなりの作品になっていったのだと思う。
「どこにいたの、生きていたの
遠い空の下 二つの物語♩」
この歌詞を凄く上手ではないにしろ、
しっかり脚本に落とし込んでいったと思う
エピソードはよくあるもので新鮮味はないけど、嫌な感じはしなかったし、持ち場持ち場をしっかり演じきったみ役者さんの使い方、撮り方も好印象を与えた。
特に榮倉奈々、良かったなあ😢
何本も手堅い作品に仕上げてきた手慣れた瀬々敬久監督さんの手腕なんだろう。
そして、何よりこの安易企画を何とか持たせた最大の功労者は、もちろん主役の二人だ。
菅田将暉と小松菜奈の映画スターとしての魅力。
彼らの演技には、いや、存在といってもいいかもしれないが、画面に映るだけで
奥行きを感じ、逆に「演じてます!」感を
与えない!
その魅力はテレビどは表せられない、スケールの大きさとナチュラル感。
同世代では、ダントツのトップ映画スターだと思う。
同じ脚本、同じ脇役だったとしても、
この二人じゃなかったら、随分チンケな出来になっていたんじゃないかな。
観ている人(少なくとも僕は)、
二人が普通に演じているところに、
観ながら、アンダーラインを引きたくなってしまった。
例えば、二人が20代で出会うシーン。
菅田将暉の何となく行けてない、諦めた冴えない感じ。
小松菜奈の着飾ってるけど、芯がなくどこか尖った感じ。
そう、〇〇な感じ、をどれだけ観客に投げられるかは、天性なのかもしれない。
そして、彼らは、ツボを知ってる。
ここぞ、という時に、さらにギアを上げられる。
小松菜奈が海外で挫折して食べる日本食のシーンの思わず、「マジィ」て呟くタイミングと食べ方。
→後半、それと対比される食べ方が出てくる。
菅田将暉が長年の努力が実ったスピーチの朴訥な感じ。
下手な作品、下手な役者は、肩に力が入って、いかにも「熱演してまーす」になってしまうけど、トップギアに加速しても、
力みを感じさせない。
二人に助けられた感と決まったラストに無理矢理持っていった感と、
「糸」に頼りすぎ、最初は要らない、
つまり、時系列を少し工夫しても良かったかなっとも思ったりもするけど、、
でも、企画ものとしては、なかなか良かった思います。
PS ちょっとスコアは甘かったかな😅